人気ブログランキング | 話題のタグを見る

最後の笑顔

最後の笑顔_b0009103_10574335.jpg
「笑顔がたまらなくて、思わず買ってしまいました。」
そんなメッセージが付いたピンクの新聞が俊輔ファンの友人から送られてきました。

8月5,6日号の「エルゴラッソ」。
表紙には、ナチュラルな笑顔で立つ在りし日の松田直樹選手。

感情を露にして、チームを鼓舞する姿、
阿修羅のように髪を逆立ててプレーする姿
悔し涙にくれる姿
そして「まじサッカー好きなんですよ」とサポーターに語りかける姿。

私が見てきた松田選手の姿は、すべてピッチの上での熱い姿ばかり。
こんなに穏やかな顔、初めて見ました。

城さんや佐藤由紀彦選手が言うように、とても優しい、ナイーブな人だったんだと、この写真で改めて34歳の青年を見た気がしました。

ファンやサポーターの闘争心を一身に背負って、その人達の分まで戦うために魂を奮い立たせる、それがプロアスリートの宿命なんだろうけど、一般人の私には想像できない大変さなんでしょう。
後輩や他人には優しいのに、自分の「さいわい」には案外無頓着な人だったような気がします。
その分、可愛がられてきた後輩たちの悲しみと喪失感は大きいでしょう。
おそらく松田選手にとって一番可愛かった後輩の中村俊輔選手の一連の行動や言葉から、喪失感と悲しみの大きさを感じます。
とくにお通夜の後の取材のなかで、「最後にどんな言葉をかけましたか」というような質問のシーンがあり、俊輔選手は、小さな声で「終わりじゃないから…」とつぶやいて、その後に「みんなの中にいつまでも生きています」というような回答をしていました。
「最後に」という言葉に抗うようにつぶやいた「終わりじゃないから…」に、まだまだ松田選手の死を受け入れられない、受け入れたくないという彼の本心を見たような気がしました。

私達は、スポーツのシーンだけで選手を観て、彼らの才能を楽しめばいいのかもしれません。
それでも、エルゴラソの松田選手の笑顔や現実に抗うような中村選手のつぶやきを知ると、その人物像もふくめて丸ごとがプロスポーツなのではないか、だからこそ感動があるのだろうと思えます、

おそらく気持ちの整理も切り替えもできないまま、動揺と混乱をかかえたまま突入してしまったような対柏戦。
完敗でしたが、なんともいえないヒリヒリする感動がありました。
安っぽい感情かもしれませんが、選手ひとりひとりが身近に見えました。

もう明日、次の試合なんですね。
気持ちを切り替えて!とかプロだからという言葉もありますが、どうなんでしょう。
それぞれの選手達が、それぞれの中で気持ちを整えることでしょう。
整わなくてもいいんじゃないかなあ。
それを支えあって補い合っていくしかないでしょう。
それほど、松田直樹選手という存在が大きかったと言うことです。
人間らしい気持ちがほとばしるような試合をして欲しいと思っています。
by windowhead | 2011-08-12 11:00 | 紙のフットボール

日本の西海岸・長崎からのつぶやきはビンの中の手紙のように漂いながら誰かのもとへ


by windowhead