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読まず嫌いは損をする…柳広司の作品

読まず嫌いは損をする…柳広司の作品_b0009103_1240339.jpgずっとずっと気になりながら通り過ぎていた本。
「ジョーカーゲーム」 柳 広司 著
どうも日本の戦争を扱ったものは悲惨で(戦争自体が悲惨なものなんだけど)陰湿で希望が見えないという先入観があって通り過ぎていた。
柳広司氏のクールそうな風貌も、それに輪をかけていた。(ごめん!柳さん)
ところが、読みだしたら一気に惹かれてしまった。


日中戦争前ごろの日本陸軍内にスパイ養成学校「D機関」が秘密裏に設置される。
「見えない存在」に徹すること、そのためには「死ぬな殺すな」を第一戒律にしている。
スパイものといえば、任務のためには市民も巻き込むような殺人というのが常套的と思っていたので、「死ぬな殺すな」の戒律に、まず驚いた。
確かに市民生活の中で「死」ほど人の関心を引き付けるものはない。影の存在であるためには「死」にかかわりあってはいけないし、自死することも死体となり身元をさぐられることになる。「死ぬな殺すな」は実際に「陸軍中野学校」でも戒律になっていたそうだ。
集められるのは優秀な頭脳と才能を持った民間人ばかり。
ここで訓練を受けたスパイたちの様々なケースがショートストーリーに描かれている。
そしてそれらのストーリーのかなめに見え隠れするのがD機関創設者である結城中佐の姿。
時代設定もしっかりしているので、それぞれのスパイたちの行動の場所に絡む時代背景も読み取れて興味深い。

すぐまさ続編にも飛びついた。
「ダブルジョーカー」
D機関の対抗馬となるスパイ養成機関が陸軍内に設置される。この機関とD機関の違いは…?
そして、スパイたちは海外各地で任務に就く。

もう次が待ち遠しいと思っていたら、出ましたよ。買いました、読みました。
「パラダイス・ロスト」
話は結城中佐の過去にさかのぼる。


読まず嫌いは損をする…柳広司の作品_b0009103_12403492.jpg「ジョーカーゲーム」にひかれて柳 広司作品を読もうと手に入れたのが
贋作「坊ちゃん」殺人事件
あの夏目漱石の「坊ちゃん」を題材にしているが、トラベルミステリーなどによくあるご当地を訪ねる風のものではない。
「坊ちゃん」の3年後の物語となっている。
「赤シャツ」が自殺した!との情報が「山嵐」からもたらされ、二人はまた彼の地へ赴く。赤シャツの死の真相を追う坊ちゃん。3年前、退職するに至った事件の背景まで見えてくる…。
めちゃくちゃおもしろいよ~~~!

私は、今柳広司の大ファンになりました!
あらためて彼の作品を見るともうおもしろそうなタイトルばかり。
今年は柳 広司にはまるつもり。
もっと早く手にしとけばよかったなあ「ジョーカーゲーム」
教訓:読まず嫌いは、喜びを狭めます!
by windowhead | 2012-04-19 12:42 | 至福の観・聞・読

日本の西海岸・長崎からのつぶやきはビンの中の手紙のように漂いながら誰かのもとへ


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