「サンフレッチェ情熱史」を読む

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どうしても気になるチームの、おそらくは最もコアなファンのひとりが書いたチームの歴史。
「サンフレッチェ情熱史」 中野和也著 footbollisuta ソルメディア刊

実はサンフレッチェのサッカーが好きだ。
正確にいうとミハイロ・ペトロヴィッチのサッカーに魅せられた。
彼がサンフレッチェを率いていた3シーズン、見る試合見る試合いろいろな意味で楽しめた。
降格試合とその後の出来事さえも一つのドラマとして目が離せなかった。
少年漫画のような無邪気さを清々しさと勢いをみせてくれるチームのバックボーンをつくる監督の哲学を知りたいと思ったし、その監督を連れてきたフロントがどんな人なのだろう、移籍してきた佐藤寿人が住み着いてしまうほどの広島という土壌にも興味があった。
ミシャの契約が突然に切れてしまったのはなぜなんだろうという疑問もあった。
ミシャのあとを次いだ新人監督森保一という監督が果たしてミシャのようなサッカーをしてくれるのだろうか、おおらかな選手たちの勢いを保ち続けるマネージメントができるのだろうか、私の好きなサッカーはもう見られなくなるのだろうか
いやいや、森保監督のサンフレッチェもなかなかどうして楽しいサッカーを見せてくれている。
となると森保一という人はどんな人だろうと思ってしまう。
そして、「こやのん」!なんなの?この人!
サンフレッチェ広島というチームは、なんかちょっと違ったファンタジックな感じがしてしまうのだ。

サンフレッチェ広島というチームは決して恵まれたチームではない。
予算も立地条件もどちらかというと厳しいほうだ。
市民には広島カープという絶対的なヒーローがあって、いつもその人気の後塵を拝しているが、決して諦めているわけではないし、かといってカープを敵対視しているわけでもない。共存の価値をよくわかっている。2位で良いと言った市長には首位を取って溜飲を下げさせるだけの行動力と幸運も持ち合わせている。

こんな私のような素人のファンタジーにまみれた見方に対して、しっかりとサンフレッチェの現実を伝えてくれながらも、そうか、そうなんだ!と納得するような違いも教えてくれる。

広島ならではの情熱が良い方向に集結してステップアップしていった集団の情熱のヒストリー。

日本のサッカーチームの歴史って、以外と本に成っていないのではないだろうか。コアなサポーターにしてみれば今更なことなのだろうが、知りたいファンはたくさんいるはず。日本代表や海外の有名チームのヒストリーを本にするのもいいが、もっと身近なチームのことをもっとアピールしてもいいはず。
Jリーグは、決してヨーロッパや南米のサッカーに追いつかない推さないリーグではないはず。もっとプライドをもって日本のサッカーのことを知ってもいいはず。
日本のサッカーは日本代表ではない、Jリーグのことなんだ。少なくとも私はそう思っている。
「サンフレッチェ情熱史」は自分が応援しているチームを知りたいと思う気持ちを支える「知」の土台の作り方を教えていると思う。

私のリスペクトする中村俊輔が愛して止まない「横浜Fマリノス」はどんな魂の歴史を持ったチームなんだろう。
わがまちの「Vファーレン長崎」はJリーグ2年生。だが、このチームにも逆境にまみれ、乗り越えた歴史があるし、リスペクトされるべきスタッフや選手たちもいる。長崎の情熱史だって、いつか誰かの手で形になるはずだ。(山頭さんの写真はすでに、ひとつのVファーレン史に成っていると思う)

シーズンオフを楽しむとても良い1冊になった。
著者の中野和也さんは、長崎の出身と書かれている。
長崎のことも見ていてくれているだろうか?
今シーズンは、セナくんやデホンくんというサンフレッチェの若者が長崎でプレーする。
ぜひ長崎の彼らのことも「紫熊倶楽部」に書いて欲しいなあ。
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by windowhead | 2014-01-31 16:19 | 紙のフットボール | Comments(0)

日本の西海岸・長崎からのつぶやきはビンの中の手紙のように漂いながら誰かのもとへ


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