「鈍足バンザイ!」岡崎選手の魅力

「Vファーレン、足踏み中ですね〜」歯医者さんにいくと先生の挨拶はまずサッカー。
治療中もサッカー談義。今回は代表選出についてだった。
先生、開口一番「日本代表は本田や香川で語られるけれど、今話題の中心になるべきは岡崎じゃないですかね〜。現役日本代表ではゴール数はトップだし、主要欧州リーグでの日本人最多得点も記録するなど実績残しているのは岡崎ですよ。」
先生の息子さんは高校でサイドバック。その親御さんだからか、一般のにわか代表ファンのようにマスコミに踊らされない。息子さんは今回選出されたサイドバックにどう思っているか聞きたかったが、どうも日本代表よりスペインやドイツ代表の方に興味があるようだった。

岡崎慎二選手、このたび本を出しましたね。
b0009103_15143545.jpg「鈍足バンザイ! 僕は足が遅かったからこそ、今がある。」岡崎慎二著 幻冬社

なんだろう、脱力するほど普通の男子の話。いや最近の男子は力量はないが無駄な自信だけはあるという子が多い。ポジティブシンキングらしい。ところが岡崎君はネガティブシンキングの子。駄目な子ぶりがいっぱい告白される。でも悩むことも弱さをさらけ出すこともだめなことじゃない。それほど正直だからいろいろな人が彼に手を貸すのだろう。
彼が感謝している先輩として、佐藤由紀彦選手とのエピソードを記している。
エスパルス時代、由紀彦選手は、チームでも3番手4番手の普通のFWだった岡崎選手が居残り練習するときいつも相手をしてくれたという。岡崎選手が今でも由紀彦選手を慕って感謝しつづけているのはこのような時代を支えてくれたからなのだ。
もう一人が中村俊輔選手。海外から帰ってくるといつも食事会をして話し相手をしてくれるようだ。
佐藤由紀彦選手と中村俊輔選手、どちらとも大きな壁や喪失感に見舞われながらも、真正面からぶつかり、悩み、自ら道をえらび、等身大の自分をさらけてきた選手たちだ。

悩み、落ち込むことはマイナスではないはず。鈍感なポジティブよりもずっと人を成長させる。そのことを現代人は過小評価したがる。それはポジティブが成功の近道だと思わされているから。手っ取り早い方が楽だからかもしれない。
そんなことを考えながら、ぱらぱらと読んでしまった。
買うほどの本じゃないという人もいるかもしれないが、ぜひ買いたいという人なら買っても損はないかな。

この本をぜひ買って欲しいのは町や市や学校の図書館。
劣等感や平凡さに悩む子供たちの気持ちが少しは軽くなる。自分も頑張れば夢を追えると思わせてくれるだろう。
佐藤寿人選手の「小さくても勝てる」とこの本は小さな図書館にでもぜひ1冊備えておいて欲しいなあ。
図書館をすすめると読書家なら本は買って読むべしという人もあるだろう。しかし、このような本はほとんど重版されにくい。数年後には廃判されているという状況もありうるので、いい本として出来るだけ多くの人に読んでもらい,後世に残すためには図書館に入れてもらうというのも考え方の一つと思って欲しい。
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Commented by miyosmile at 2014-06-15 21:06
俊輔のエピソードのところだけ、立ち読みしました。あの時そんなことをして、そんなことを言ってたのかと思うと、さすがだなと思いつつ、胸痛みます。
Commented by windowhead at 2014-06-19 02:51
miyosmileさん、お久しぶりです。お元気でしたか?
miyosmileさんのお名前を見たらとたんに俊輔君のセルティック時代をおもいだしました。サッカー選手として素晴らしかった俊輔が、南アでの苦悩とマツさんを失った喪失感を乗り越えながら人間的に素晴らしい大人に成長していった4年間でしたね。俊輔を見続けることでつながっている人がいることが、とても嬉しいって思いました。
訪問ありがとうございました。
by windowhead | 2014-05-17 15:22 | 紙のフットボール | Comments(2)