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メディアが作る「ライブドア」イメージはフェアなのかなあ?

3月26日付朝日新聞の別冊「be」にとても、興味深い記事があった。
この別冊に「フジマキに聞け」というシリーズがある。フジマキとは、兄は、元モルガン銀行東京支店長・伝説のカリスマディーラー:藤巻健史氏。弟は、元伊勢丹のカリスマバイヤーで2003年10月から福助社長の藤巻幸夫氏。この2人の兄弟がそれぞれの専門分野で質問に答えるというシリーズだ。
今回のテーマは、「ホリエモン」。兄へ「ホリエモン問題で最近気になることはありませんか?」との質問があり、それに藤巻兄が答えているのですが、なるほど!と膝を打つような見解があった。
兄の今回のコラムは、通信社の記事の中に漢字変換ミスの文字を見つけることがあり、それがささやかな楽しみ。でも、変換ミスは笑えるが、笑えない言葉の誤用もある。と書いて、以下のような文章があった。
ライブドアとフジテレビの騒動では「乗っ取り」という言葉が頻繁にメディアに登場した。これは、堀江社長のやったことを、最初から悪いことと決め付けているようなものだ。きちんと「買収」という言葉を使うべきだと思う。


たしかにそうだと思う。堀江氏の企業が仕掛けたのは「買収」である。法的になんら問題がない極めて日常的なビジネスの1つだ。「乗っ取り」とは、まるで、不法に力任せにねじ込んだようなイメージがある。分かっていてこの言葉を使っているなら、メディアはイメージ操作していることになる。

同じようなことが、映像にもある。
これだけ露出の多い堀江氏なのに、なぜ、彼の映像というと、あの映画のPR用に撮影したマシンガンを構えた映像を使うのか?
TV各社で[「フジ対ライブドア」、「日枝対堀江」、「亀淵対堀江」などのイメージ写真でこのマシンガン映像やそれから切り取ったマシンガンを構えた写真を使っている。
堀江氏が、ほとんどメディアに出てこないので写真がないならともかく、毎日各社に出ているし、インタビューにも応えているのに、使われる写真がこのマシンガンでは、写真を掲載する側のイメージ操作としか見えない。
「乗っ取り」と「マシンガン」で、暴力的な若者のイメージを植え付けられる堀江氏に同情する。
まして、かたや亀淵氏は、困ったような泣きそうな顔ばかり。これでは、善良なおじさんをいじめる若者というイメージだ。
買収されてもおかしくない状況にあったのに何もしていなかった亀淵氏の経営能力のなさを誰も批判しない。彼は決してリスナーやお客様のことを考えている人ではない。その証拠が株主総会で村上ファンド(株主)の意見をさえぎり強行に議事をすすめさせたという報道に現れている。さらに、有名タレントに番組を降りるというコメントを出させているが、経営が変わるというだけで、番組を降りるという人たちは、本当にリスナーのことを考えているといえるのだろうか。この点では、それを指摘したナインティーナインの2人の意見に喝采をおくりたい。
普段からリスナーや視聴者のことなど考えていない人たちが、俄仕立てでそれ風なことをするから、ボロがでるのだろう。
公正性・公共性を主張するメディアがこのようなことをする。恐ろしいことだと思う。


私は忘れていない。2004年4月8日のイラクにおける3人の日本人人質事件。

あのとき、同じ日本人の被害を助けることより、彼らの行為が非常識であり、その責任は国が取る必要はないという「自己責任論」が、ほんの2,3日で日本中を吹き荒れた。これは、すべてのメディアによって流された情報だ。
あのとき、本当に日本は彼らを救う責任はなかったのか?そんなはずはない。なのに、自衛隊撤退が交換条件だったばかりに、国は苦し紛れに「自己責任論」をぶち上げて問題の本質をはぐらかし、メディアがこぞってそのお先棒を担いだ。
公共性を主張するメディアが主張する「自己責任論」は国内でものすごい勢いで荒れ狂った。この「自己責任論」がエスカレートし、帰ってきた彼らを深く傷つけ、その後の日本人の活動の足を引っ張った。
あのとき、感じた恐ろしさは、ナチスの言論や思想の統制を見るようだった。
その後、いつのまにか「自己責任論」は消えていった。その後の人質問題でもそれほど出てこなかった。そしてメディアから「自己責任論」を煽った反省の声はない。

あの恐ろしさを私は忘れ得ない。あれが、メディアの暴力だということを。
私が、今回のライブドア対フジの問題でもライブドア側のスタンスに立つのはそんな理由からだ。
今回の堀江氏を表現する言葉や映像も、自己責任論のときと同じ臭いを感じる。
今回はそれをメディアが自分たちの利権を守るために仕掛けてきている。

「きれいはきたない。きたないはきれい。」マクベスの3人の魔女の台詞を思い出す。
by windowhead | 2005-03-27 21:11 | 日日抄

日本の西海岸・長崎からのつぶやきはビンの中の手紙のように漂いながら誰かのもとへ


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