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黒木聖仁選手ありがとう、記憶に刻まれたスーパーサイヤ人

「うちの選手の中でJ1が最も欲しがるのは黒木よね」
終盤そんなことを言ってたのに、彼がJ1に行くのは私の中では想定内だったのに…。
その黒木聖仁選手の移籍が決まったときはやっぱり動揺した。
今シーズンのVファーレン長崎は黒木のチームだった。
どの試合でも必ず黒木選手が目についてしまう。
「黒木、ありがとう!」と何度つぶやいたことか。
扇の要のような選手だった。
プレーオフのアビスパ戦後、選手たちも引っ込んで、サポーターの多くも帰り始めた頃、黒木選手はずっとロッカーに戻らすに出入り口のところに座っていた。しばらくの間そうしていたが、思い立ったように立ち上がってサポーターのところに来てくれた。そして、やおらユニフォームを脱ぐとサポーターの一人に渡して立ち去った。
今思えば、あのゲームが彼のJ2への決別だったのだろう。
長崎をJ1に上げることはできなかったが、彼はJ2ではやりきったと納得したのだろう。

シーズン初め、髪をプラチナ色に染めた黒木選手の姿に度肝を抜かれた。
あの髪の色は並々ならない彼の決意表明だったのだろう。
銀狼に変身した黒木選手は、すごいパフォーマンスを続けた。
「黒木はスーパーサイヤ人になった!」という声もいっぱい聞いた。
黒木選手の今シーズンにかける思いがどれほどだったのだろうと、Vファーレン長崎の公式サイトやola!のサイトを覗いたけれど、そのどこにも黒木選手のまとまった記事はない。2年にわたってこれほど活躍してくれた選手のロングインタビューがないとは!
Vファーレン長崎もメディアもファンも含めて長崎のみんなの一大失敗だ。
黒木選手が去ることがわかってから、何試合も録画を見直し、いろんな記事を探して、遅ればせながら黒木選手のプロフィールを肉付けしてみようとがんばったけれど、ちっちゃなエピソードの切れ端くらいしか見つからなかった。
黒木選手の名前「黒木聖仁」「くろぎ まさと」これを正しく読めなかった。
高校サッカー時代の記事には、泣き虫だと自己申告していた。先輩の最後の試合などでは先輩より先に大泣きしてしまう感激屋さんだったようだ。それに照れ屋さん。現在のクールなイメージからは想像がつかない。

今シーズン最初のジェフ千葉戦でキャプテンマークを巻いていた。初めてのキャプテンマークだったのかな?  コイントスでエンドを決めるとき「ウエク〜〜」ってキーパーの植草選手に確認を取っていたのが微笑ましかった。
7節の京都戦で今シーズン初ゴールのときは満面の笑みで喜んでいた。モニターに映し出された嬉しさにはじけた表情は清々しかった。それでも14節のアウエーセレッソ大阪戦のゴール時ははじけてなかった。セレッソのゴール前でのセットプレー。マッチアップする扇原選手を位置取り争いからうまく出し抜いてヘッドで叩きつけるようなゴールを決めた。ほんの少し微笑んだ彼はピンクに染まるスタンドに向けて両手で自分の背番号を指差した。1−2でセレッソに勝ち切ったとき、黒木選手は泣いていた。モニターに映し出された彼は小さくしゃくりあげながら頭をさげてそのまましばらく下を向いたままだった。この対戦前に山口蛍選手が「黒木がキャプテンだったら、コイントスのとき頭をはたいてやりますよ」とちょっと上から目線でコメントしていた。リップサービスだったのだろうが、私は年下のくせに失礼な人だなとカチンときていた。あのコメントを黒木選手はどう受け止めていたのだろう。
ホーム最終節のセレッソ戦も勝ち切って、黒木選手の「セレッソ大阪」との戦いは完結したのだろう。
セレッソを乗り越えた彼が、次に向かうのはJ1という場所だった。
長崎とともにJ1に行くのが本懐だったのだろうが、残念ながら長崎は上がれなかった。
黒木選手は一足先にJ1に乗り込むという。
また一人で新しい場所をえらんだ。ヴァンフォーレ甲府。
地味な場所をえらんだねと思ったが、選手をよく見ると期待される若手が多い。黒木選手の加入でヴァンフォーレが大きく飛躍する可能性を感じる。

長崎での2シーズン、黒木選手がいることがどんなに心強かったことか。それなのに、いるのが当たり前のように彼を讃える短文の一つも書かなかったことを後悔している。ファンサゾーンで彼にお疲れ様、ありがとうを言ってなかったことを後悔している。
記録に残せなかったが、私も含めて長崎サポの記憶には大きなインパクトとして刻まれたと確信している。
大きな感謝を込めた花束を渡して見送りがしたかったが、それも叶わない。
来シーズンのJ1開幕戦で黒木選手がヴァンフォーレ甲府のスタメンを飾りますように、応援し続けよう。


歌いたかったなあ、黒木選手のチャント
「くろぎまさと もうとまらない
くろぎまさと ずっと君と」

     曲は福山雅治の「それがすべてさ」
by windowhead | 2015-12-24 18:11 | Vファーレン長崎

日本の西海岸・長崎からのつぶやきはビンの中の手紙のように漂いながら誰かのもとへ


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