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トーマス・グラバーはアバディーン出身だったんだ。

日差しに誘われて坂本町外人墓地周辺を散歩した。
ここは、長崎市内にある3つの外人墓地(行政は国際墓地と呼ばせたがっているが、私は昔から耳にしている外人墓地という呼称が好きだ)の中では一番新しいもの。
ここに、幕末・維新の日本の近代化に多大な影響をあたえたトーマス・グラバーも眠っている。

グラバーの墓石を読んでいて、いまさらながら彼の出身地を知った。
子どものころの郷土の歴史では「イギリス人」と習った。最近は、スコットランド人という表記が普通にされているので、彼がスコットランド出身だとは知っていたが、出身地には思いも行かなかった。
墓標の中に細く刻まれている文字「NATIVE ABERDEEN SCOTLAND」
トーマス・ブレイク・グラバーはアバディーン出身だったのかー。

トーマス・グラバーはアバディーン出身だったんだ。_b0009103_1519374.jpgアバディーンというところは、スコットランドの北東部の港湾都市。エジンバラ、グラスゴーについでスコットランドでは3番目に大きな都市らしい。
アバディーンが私にとって、なにか特別の町なのかと聞かれると、そんなことはない。
3年前だったら、この墓標を読んでも気にも留めなかっただろう。

中村俊輔がスコティッシュプレミアリーグ「セルティック」に移籍してから、定期的にスコットランドのサッカーを見るようになった。
グラスゴーには「セルティック」と「レンジャース」があり、この2チームの試合は「オールドファームダービー」と言われダービーマッチの源流として世界的にも有名だということ。エジンバラには「ハーツ」や「ハイバーニアン」があり、ハイランダー地域の唯一のチームが「アバディーンFC]だということも狭い知識の一部になっている。

10数チームあるスコティッシュプレミアリーグの中で、アバディーンを知っているのには訳がある。
「アバディーンFC]は、あのマンチェスターUのサー・アレックス・ファーガソン監督が指揮をとっていた時代、スコティッシュプレミアリーグの王者だったこと。その時の中心選手として「セルティック」の現監督ゴードンストラカンが在籍していたこと。このすばらしい師弟関係がその後、何か、…ファーガソンの自伝が原因なのかな…で犬猿の仲になったというゴシップなど、興味が尽きない2人の成功者の出発点になったチームでもあるからだ。

もしかしたら、ストラカンは、スコットランド人として尊敬もしていたファーガソンが、よりもよって英国王室からサーの称号をもらったことが、気に入らないのかもしれない、なんて思ったりもした。「スコットランド人としての意地や誇りはないのかよ、先輩!」なんて、ね。

こんなバックグランドを知って見ていたから、チャンピオンズリーグ予選リーグでの「セルティック」対「マンチェ」戦は、とても興味深いものだった。中村俊輔のFKに小躍りして喜ぶストラカンの姿がもう無邪気で可愛くて…。

「アバディーンFC」の創立は1903年らしい。その頃はまだグラバーは日本で事業を営んでいた。


トーマス・グラバーはアバディーン出身だったんだ。_b0009103_15202111.jpgアバディーン出身者の墓碑は、大浦の外人墓地にもある。
大浦の外人墓地の中で、特徴的な碑がある。
オベリスクのように背の高い柱のうえに船長さんのような像が載っている碑が墓地の奥のほうにある。
これは「ミッチェル3兄弟の記念碑」と書かれている。
アバディーン出身の造船技師ジェームズ・ミッチェルが、海難事故でなくなった3人の兄弟を偲んで立てた記念碑らしい。その1人は五島沖で海難にあっている。

墓地の入り口の看板にはこの碑のことを紹介した文章が載っている。
スコットランド人造船技師と書かれている横に「ユニオンジャック」の画像が書かれているのが、とても気になった。教科書的には正しいのだろうが、スコットランド人と書かれた横には、スコットランドの紺に白のバッテンの国旗を書いて欲しいなあと、感じてしまう。

中村俊輔のおかげで、私はいつのまにかスコットランドのサポーターになりつつあるようだ。
もちろん、グラバーにも愛着が湧いてきている。
ちなみにグラバーが日本に来た時の年齢はなんと20~21歳。おい、髭の紳士ではなかったのか!21歳くらいといえば、セルティックの持ちすぎ坊やエイデン・マクギティーくらいの年齢。そうか、無謀なことも可能と思えるねんれいだったのねと、マクギくんにグラバーを重ねてみる。
じつは、私は、マクギティーが好きなんだ。
by windowhead | 2007-04-07 15:20 | 長崎と幕末維新

日本の西海岸・長崎からのつぶやきはビンの中の手紙のように漂いながら誰かのもとへ


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