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平和な町で、市長が撃たれた。

夕食時間にあわただしい救急車のサイレンが聞こえた。
また交通事故かと思っていたら、TVに臨時ニュースのテロップが流れた。
「長崎駅前付近で、市長が銃撃され重体」
夕食時の救急車は、その市長を長崎大学附属病院に運ぶ救急車だったようだ。
9時前、病院での市長の症状が心肺停止状態だと放送されている。

こちらは今、市長・市議会議員選挙中で、伊藤市長は4期目の立候補で選挙戦中であり、銃撃された場所は選挙事務所前。
ついその2時間ほど前、その場所を通ったときも、黄色いはっぴを着た運動員のおばさんたちが黄色のハンカチを振りながら、「お願いします!」と声を上げていた。歩道の幅は3メートルくらいしかないが人通りの多い場所。
そんな日常の場所で、意味の分からないテロ事件。
犯人はその場で取り押さえられたようだが、犯人の住所が、また私の以前住んでいた町内だ。
その町内はとても穏やかな町だったのに、一昨年の秋、それまで倒産して空き家になっていた料亭の建物を暴力団が買い取って組事務所にしてしまったことから、町中がなんとなく不穏な感じになってきていた。大きな事件は起こってなかったが、チンピラ連中が道路を我が物顔で運転し、タクシーや一般の車は避けて通るようになっていたようだ。その後、わが家は、今の住所に引っ越したため、その町とは疎遠になっていたが、今回のことで、何人もの知り合いから、「大丈夫?」などという見当違いだけどありがたい電話やメールをもらっている。

市民としては、正直、何がなんだかわからない事件だ。
市長と暴力団や利害対立関係の組織との間にトラブルがあるとは聞いていない。
選挙の対立候補も、市民派の女性候補者2名と共産党候補者であるため、現市長の圧勝はすでに見えていたようなもの。暴力団と利害を同一にする候補者ではない。
いったいこの事件の背景はなんなのか検討がつかない。

市長の容態は心肺停止状態だという。

市長の蘇生を祈るばかりだ。



………追記………
今朝起き抜けのニュースで、市長は亡くなったという。
至近距離からの射殺で、大動脈や心臓が裂傷だったらしい。一度も意識を取り戻すことなく亡くなられたそうだ。どんなにくやしかったことだろう。

市長の市政に全面的に賛同するわけでなく、親近感をいだいたこともないが、一人の命がこんなカタチで消されてしまうことに、怒りと無力感を感じている。
犯人は59歳の暴力団幹部らしい。今のところ私憤、それもかなり思い込みに近い勝手な言いがかりのようだ。
暴力団とはいえ、組織のトップクラス、いい年の大人がこんな愚行に走るほどこの街は病んでいるのか。
なかなか活況が見出せない地方都市の閉塞感は、どんどん人の心から前向きの活力をそぎとっていくのだろうか。なにも起こらない平和そうな日常というのは、そう思いこみたい人々の心が作った幻想?大人の心が切羽詰って病んでいっている側面を見てしまったようで、空しい。

長崎は未明から雨が降っている。
by windowhead | 2007-04-17 23:06 | 日日抄

日本の西海岸・長崎からのつぶやきはビンの中の手紙のように漂いながら誰かのもとへ


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