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「ウォーター ホース」映画の舞台はまたもスコットランド

少年成長物語が好きなので、映画「ウォーターホース」にいそいそと出かけたのは1日。映画が1000円で見られる日。
「ロード オブ ザ リング」や「ナルニア物語」のスタッフが取り組んだということだが、その2作がSFXを駆使し、これでもかこれでもかというほどゴテゴテのファンタジーを演出していたのに対し、「ウォーターホース」は実に控えめな映画だった。
控えめと言うのは、ほめ言葉としてだ。

時代はほんの70年ほど前、第二次世界大戦のころ。場所はスコットランドのハイランド地方、というかネス湖周辺。そういうリアルな設定があるので、ゴテゴテのファンタジーにはしにくいということもあるだろうが、その控えめさのおかげで豊かな少年映画になっていたと思う。

たとえば、少年が怪我をした野生の動物を助け、それを育てていくが、成長した野生の動物は野生に返すのがいいということで泣く泣く動物と別れる。その後、その動物と人間たちとの間でトラブルが起き、少年はその間で悩み苦しみ、悲しみを乗り越えて成長する。というようなお話は、少年ドラマの1つのパターンだ。その動物がたまたま伝説の怪獣だった。そのような捉え方が一番この映画にあっていると思う。だからこそ、登場人物の自然なたたずまいが大切。スターも美人も登場しないリアリティーのある配役はこの映画が成功するひとつの要素。成功している。
ネッシー捏造写真の顛末や最近話題の水面からジャンプするネッシーの姿も取り入れているところは、さすがエンタテイメント。現実を遥かに越える物に出会ったとき、人は圧倒されながらも人間らしさを深めることができるのだ。

SFXで造られた伝説の怪獣ウォーターホース、クルーゾが違和感なく画面に溶け込んでいるのは、ネス湖の神秘のなせる技。とにかく、ネス湖周辺の自然がすばらしい。古代の伝説がよみがえってくるような神秘的な壮大さに圧倒される。

ネス湖といえば、スコットランドプレミアリーグのサッカーチームにブルーのユニフォームの「インヴァネス・カレドニアン・シッスルFC」がある。インヴァネスはネス湖の河口の都市。ホームスタジアム「タロック・カレドニアン・スタジアム」のバックスタンド後ろには湖が広がっている。
スコットランドでの中村俊輔の試合をTV観戦していると、年に2回ほどこのスタジアムでの試合がある。みぞれが降るスタジアムの向こうに灰色の水面が見えるので、あれはネス湖かな?と思っていたが、どうも、ネス湖ではないようだ。ネス湖の河口よりもう少し海寄りの所。それでも、そことネス湖は繋がっているだろうから、そこにネッシーが現れても不思議ではない。「タロック・カレドニアン・スタジアム」の立地はどこかサッカースタジアムとしての現実感が希薄だ。

以前、NHKのドキュメント番組で荒俣宏氏が、イギリスの中でもスコットランドはより魔界に近いというような話をしていたが、納得できる雰囲気だった。
中村俊輔の好プレーを評して、魔術師だとか、妖精のようなタッチだとか形容するスコットランドのマスコミに無邪気な例え方だねとほほえましく思っていたが、それは思い違いかもしれない。魔界に近いスコットランドの人々には、魔術師も妖精も、もっと現実的なものなのかもしれない。

ネス湖(ウォーターホース)、ロスリンチャーチ(ダヴィンチコード)、バルモラル城の敷地(クィーン)、荒涼としたアイルランドの台地(麦の穂を揺らす風)と、スコットランドやアイルランドの風景が登場する映画に惹かれている。これも魔術師の力なのかなあ。
by windowhead | 2008-02-05 17:48 | 至福の観・聞・読

日本の西海岸・長崎からのつぶやきはビンの中の手紙のように漂いながら誰かのもとへ


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