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木村元彦による中村俊輔インタビュー(スポルティーバ)

タイ戦への中村俊輔選手の招集は見送られたらしい。
中村俊輔選手はきっと残念と思っているだろうが、ファンとしてはホッとしている。
そもそも、中村選手が所属するセルティックのカップ戦5回戦がタイ戦とほぼ近い日程になっている。カップ戦は勝ち抜きトーナメントなので1発で負けると先に進めない。
そんな試合を控えているチームに向かって、中村選手をその試合に出さずに日本代表のタイ戦に向けて返して欲しい。もしその試合に出してから返すのであれば召集しない。という内容のレターを日本サッカー協会は送りつけている。
誰が考えても一発勝負のゲームをチームの要の選手抜きで戦えというのはばかげている。相手が格下でも何があるかわからないのがサッカー。国内のJリーグのチームにはベストメンバーで戦えと規制しながら、よそのチームにはベストメンバーの要の選手を休ませろという自己矛盾をしゃあしゃあと言ってしまう日本とは厚顔無恥もはなはだしいと思っていた。
ましてや、中村選手に高額の給料を支払っているのは、日本ではなくスコットランドのセルティックなのだ。中村選手が日本代表に出ることは、セルティックにはほとんど見返りはなく、リスクのほうが大きいのだよ。ただ、中村選手の代表への強い愛情に付け込んだような召集のしかただった。
だから、見送りになって本当によかったと思っている。


さて、「スポルティーバ」の3月号はなかなか興味深いインタビューが満載されていた。
「新生岡田ジャパン始動、それでも闘う準備はできている」という企画で、日本代表主力選手のインタビューがあったが、なかでも興味深いのは、中村俊輔選手のインタビューを「オシムの言葉」の木村元彦氏が担当しているところ。

木村氏による中村選手のインタビューというのは初めてだと思う。
これはただのインタビューではない、サッカーについての対談というべきかな。木村氏の中村選手の見方がわかっておもしろかったし、中村選手というのは、だれがインタビューを担当しても本当に話の内容がぶれない。

「18歳のときから監督ウォッチャーですね。」という木村氏による中村選手評はすごいと思った。たしかに、中村俊輔はプロになってからこれまで外国人監督とばかり仕事をしている。監督が何を求めているかを察知するのに人一倍努力が必要だっただろう。それが今の適応力の高さを生んだのだろう。また、マンUやミランなどと試合をしたときは、チームメイトを日本代表の選手に置き換えてみて高いスキルのチームと闘うとき日本代表はどうすれば通用するかを考えているというのも興味深かった。確かに、監督ウォッチャーにして監督目線だ。

今回もオシム監督が選んだ日本代表の選手たちを評して「サッカーを知っている選手ばかり選んでいる」とコメントしている。これは、オシムジャパンに入ってからずっと一貫して言っていたコメント。
中村俊輔は、オシム監督を尊敬し、まだまだ学びたいと思っていたこともわかる。

このほか、木村氏は、ドラガン・ストイコビッチ、レアルの強化担当ミヤトビッチへのインタビューも担当している。木村氏の特別寄稿「オシムがくれたもの」は、上記3人のインタビューからオシムさんが伝えてくれたものとその未来が語られている。


また、中村選手がサッカーを知っている選手として必ず名前を挙げる鈴木啓太選手のインタビューもある。とても具体的で中身の濃いインタビューだ。
イビチャ・オシムという監督はサッカーだけでなく、もっと深く選手たちを育てていたのだということが鈴木啓太選手のインタビューからは溢れ出ている。

岡田監督は「オシムさんのサッカーはオシムさんにしかできない」と言った。
たしかにそうだろう。しかし、オシムさんのハートや意志は受け継げるはずだ。
オシムさんがここまで作ってきたものを大事にするのも岡田監督には取り組んでいただきたい。たしかに、それまでかかえることは岡田監督には若干の手かせ足かせになるかもしれない。それでもそれを甘んじて受けることによって岡田監督もさらに懐の深い人間になれるということだろう。

イビチャ・オシムという人が日本にもたらしたものの大きさと深さがじわじわと心にしみこんでくるような内容をもった1冊だった。
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by windowhead | 2008-01-30 16:55 | 紙のフットボール | Comments(2)

10番・山瀬てことは、岡田氏よ、これは俊輔不用の合図なのかい?

サッカー好きですが、殿方のように戦略だのフォーメーションだの個々の選手の技術だの語るほどサッカーを体験していないおばさんは、おばさん目線でチリ戦を観戦しました。もちろんTVです。なにしろ九州ですから。

オシムサッカーから岡田サッカーへ引き継がれたものというか、オシムサッカーとほぼ変わらない選手を選んで挑んだ代表戦ですから、オシムさんが作りつつあった時点の代表を越えていたか否かがまず観戦のポイントです。

で、オシムさんのサッカーを代表するゲームを決めなければいけないんだけど、やはり最高のゲームは「スイス戦」でしょう。ということで、スイス戦を基準に岡田ジャパンを見ていきました。
とはいっても、スイス戦には、俊輔も松井もいましたから、彼らがいないチームとスイス戦を比べるのはあんまりだ!という人もいるでしょう。でもさ、そこが岡田さんの手腕なわけでしょ。土台が出来ているんだから、それくらいは乗っけなさいよとね。

でもって、どうかというと、足元にも及ばなかった。

いろいろ言ってもしょうがないんだけど、なんでグランドの真ん中ばっかり使うのだろう?サイドチェンジを使ったダイナミックな攻め方が影を潜めていた。これが岡田さんのサッカーなのかな。
数人でプレッシャーをかけるのはよくやっていたけど、取ったボールを渡す相手がいないではプレスの意味は半分だけ。セルティックで、俊輔がプレスにいくとき、自分がガチでプレスするのではなく、片側を押さえて相手の方向をカットしたら、ふわりと弧を描くような独特のラインで動いてつぎのポジションに走っていくのをよく見るけど、このように個人の動きも繋がっていかないと、数的優位の連動って不可能だと、この試合ではっきりわかりました。

いろんな人から巻選手がイラネー!といわれているようですが、そうなんでしょうか?昨日をみるかぎり、高原のほうが悪かったと思いましたが。巻選手はカバーにディフェンスに貢献していました。FWはそんなことよりシュートだろと言われそうですが、スタメンから巻選手のところが大久保選手だったら、得点はあったかもしれませんが、失点もあったでしょうね。高原選手は運動量なさすぎ。ファンタジーもなさすぎ。交代は正解と思いました。

大久保、決めろよ!です。国見高校と同じ県の人間ですから、応援してあげたいのですが、この人、永遠にイマイチの人なのかも。個人技磨いて欲しいなあ。

内田くんはがんばっていましたが、やはり加地選手には及ばない。それでもサイドバックに交代要員ができたのはよかったです。

なんであんなに中澤選手が上がらなければならないんでしょうか?あれが岡田ジャパンのアッと言わせる戦略なのでしょうか。サイドバック並の上がり下がりを中澤選手にさせるのか!中澤選手が上がるときは、決定的なポストプレーのときだけでよさそうなものを。なのに、本当によくがんばってくれていました。「おれっち30歳、疲れるぞ」と言っても良いと思うんですけど。

鈴木啓太様、なぜ髪を切ったのでしょう。
返す返すも残念です。我が家では、「啓太、ポンテそっくりになってる~。浦和ではかぶるよ」と小さな話題提供でしたが、普通のイケメンになっちゃって、長髪のときのセクシーとインテリゼンスがなくなってしまいました。まあ、これらはサッカーには不用なものなのかもしれませんが。


で、で、で、最後に、これだけは憤慨しました。
代表の10番を山瀬がつけていました。
今回は新しい方法の背番号ではないので、山瀬はスイスのときの背番号があるはず。
なのに、10番です。
ということは、岡田ジャパンは暗に中村俊輔はいらないと言っているわけですね。
25番は、内田がつけていましたから、中村俊輔が付ける番号はありません。
これは、だれも話題にしていませんが、大きな問題行為です。
岡田監督は、暗に中村俊輔に、あなたの居場所はありませんと言っているようなものですから。
これを、俊輔はどう受け止めるでしょうか。
このやり方は、95年の三浦カズ選手をはずしたときより悪質なやり方ですよね。
それでいながら、タイ戦には、セルティックのカップ戦を捨てて、代表に来いと高飛車にセルティックに召集メールを送っている日本サッカー協会。
背番号も用意しないで召集するというのは、本当に客寄せのためですか!
山瀬が10番をつけるのであれば、俊輔なみの集客も山瀬がやるべきでしょう。あなたの名前で15000人プラスできるのであれば代表10番の価値はあるでしょう。これは、岡田さんの大きな責任です。やってもらいましょう。
ということで、俊輔ファンである私は、山瀬のインで、たいへんいやな思いが残ったチり戦になりました。


さあ、俊輔さん、日本代表ってこんなもんです。
代表のことは捨てましょうよ。
そして、CLバルセロナ戦に向けて、集中です。
俊輔とマクギのダイナミックなサイドチェンジで、バルサのお株を取るくらいの意気込みで、セルティックパークで戦い、その反省を活かしてカンプノウに乗り込んでください。
ファンが今見たいのは、日本代表の俊輔ではなく、カンプノウで戦う俊輔です。
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by windowhead | 2008-01-27 14:19 | 紙のフットボール | Comments(4)

いよいよ今年初の代表戦

いよいよオシム監督でない日本代表の最初の国際試合か。
正直、興味も期待感も薄らいでいる。
昨夜、サッカーアースで城氏がスタメン予想していたが、わくわくしなかった。
なんともエレガンスもクレバーさも感じさせないスタメンだなあ。
高原、大久保、山瀬、播戸あたりがマスコミの期待のメンバーのようだが、ここに魅力を感じないので、しかたがないね、好みの問題だから。
日本代表には、もちろん勝ってもらいたいが、世界をアッといわせるファンタジーも欲しい。
そのファンタジーを感じさせる選手が、城氏予想のスタメンにいなかった。
中村憲剛。
中村俊輔がいないときのファンタジーは憲剛だと思うんだけど。
城氏の解説だと、キーマンは山瀬らしい。
まあ、岡田さんの秘蔵っこらしいから、岡田さんが監督なら使いたいと思うのは当たり前なんだろうというのが、専門家の見方のようだ。だから山瀬…。でも、そんな単純なことで、代表の先発を選ぶかなあ?それなら、岡田ジャパンってJリーグ監督だった岡田さんのままというとじゃん。それほど単純な玉じゃないと思うよ、岡田さんは。絶対に、意外性を出そうとしてくると思うけどなあ。

気に入らないのは今度の代表のユニフォーム。
色が薄くなって、あちこちにごちゃごちゃとしたデザイン風のものが入っている。まるで田舎の高校ががんばってデザインしました風なユニ。今年はもう仕方ないが、来年はまた濃い青に戻して欲しい。
さらに、FIFAの決まりで背番号が1番から18番までしか使えないらしい。
加地君の21番やボンバーの22番が、代表から消えるなんて、残念だ。
となると、どうなるんだろ10番。
皆さんの予想では山瀬が10番らしいが、俊ちゃんが帰ってきたら何番になるの?ということになる。背番号はもともと選手をあらわすものではなく、ポジションを表すものだろうから、どのポジションになるかで背番号が変わるということかな。基本にもどったのだろうけど、となると、ファンは代表ユニ購入しにくいだろうなあ。

TV観戦します。もちろん、応援しますよ。
個人的な観戦ポイントは、緩急の効いたエレガントなサッカーなのか、ガサツで忙しいサッカーになっているのか。中村憲剛や羽生のような選手を使えるのか。さらに、わくわくするようなファンタジーを感じさせるプレーが出てくるか。かな。


鈴木啓太が髪を切っていた。これが一番残念!!
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by windowhead | 2008-01-26 11:31 | 紙のフットボール | Comments(2)

未来のスコットランド代表?

スコットランドプレミアリーグ、セルティックの中村俊輔選手のところに、2人目の男の子が生まれたらしい。
今度の坊やは、グラスゴー生まれ。
ということは、彼が将来サッカー選手になったら、スコットランド代表の資格がある。
海外代表に入って、ユーロやワールドカップを戦う日本人が出てくる可能性ができた。
これ、すごく楽しみな未来じゃないかなあ。
ぜひ、サッカーやってほしいな。


なでしこ対象に育児サポート制度を新設
日本サッカー協会が、日本女子代表選手の育児サポート制度新設を承認した。これによって、ナデシコさんたちはママになっても、赤ちゃんとベビーシッターを国内外の試合に同行できることになった。
協会はすごくいい決断をしてくれたね。
熱く感動的ながんばりを見せてくれているナデシコさんたちにとって、本当に意味のあるサポートになることでしょう。
他の競技にも広がるといいね。


調子のりジャパンの調子のりナンバーワン男・安田ミチの口は天井知らずの調子のり。代表合宿に選ばれてその舌はさらにぺらぺらと空転しているようです。
G大阪安田、2歳上の水本「面倒見たる」
と言ったそうな。それはいいよ。その後に「鹿児島は長渕剛が生まれたとこやということしか知らん」と笑顔だったそうな。

遠藤選手、安田しばいといたほうがええんとちゃいます?
安田さん、あなたのチームのトップスター・遠藤ヤットは、鹿児島出身なんですけど。鹿児島実業出身の選手たちの顰蹙をかいましたね。





最後にちょっとだけ苦言というか老婆心な独り言
岡田監督、初陣はやっぱりジャージー

サッカー日本代表の岡田武史監督(51)が、自身の“勝負服”であるジャージーで、今月26日のチリ戦での出陣を希望しているらしい。
記事では、オシム監督もジャージだった。ベンゲル監督やヒディング監督はいつもスーツ。スーツ嫌いのジーコ監督もネクタイはしなかったがスーツを着用していたが、岡田監督はあくまでも「自然体」で行くようだ。と好意的な書き方だ。
でも、代表監督ですよ。無邪気に自然体でいいのかなあ。
オシム監督の場合は、大変蒸し暑いアジアカップだったから致し方ないけど、他のときはスーツだったような。
男性のスーツスタイルは、おしゃれではなく、相手への心配りであり敬意の表示だというのがグローバルスタンダードなんですが…。
チリ戦は日本がホーム。お客様を迎えての親善試合ならホスト側は礼儀を尽くすのがあたりまえなんだろうけどねえ。せめてせめて、公式試合では監督さんはスーツまたはジャケットを着用して欲しいなあ。
そういえば、トルシエ監督時代のフランス遠征時、ジャージでパリの街に出ようとした中村俊輔選手に向かって、トルシエ監督が「お前はパリをなめているのか!着替えて街に出ろ」と叱ったという。ジャージ姿をフランス人がどう見ているのかがわかるエピソード。
監督さんは、自然体より大人の洗練を見せて欲しい。あなたも日本代表なんだから。
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by windowhead | 2008-01-20 02:41 | 紙のフットボール | Comments(4)

それでもサッカーは続く

異例!川崎「3」が今季欠番

川崎フロンターレが今シーズン、背番号の3番を欠番にするという。
昨シーズンまで3番を背負っていた佐原秀樹選手は来シーズンはFC東京にレンタル移籍となった。それでも背番号は残った。

佐原秀樹というDFは、スタメンじゃないのでプレーを見るチャンスは少ないが、登場するとなかなか魅力的。熱いし、強いし、ちょっとマリノスの松田選手のような魅力。、29歳だし、チームの若返りと出場機会を求めての移籍と聞いていた。レンタルとはいえ、佐原選手はFC東京の選手としてスタメンを目指すだろうし、川崎戦ではガチンコで、テセやジュニーニョたちの前に立ちはだかるのでしょう。そうであってのプロ選手。
でも、正直うれしい。
なんだかんだ言われそうだが、やっぱり嬉しい。
佐原選手の一ファンとして嬉しい。
創立当初からの選手へのリスペクト。川崎らしいあたたかさ。


ところで、佐原選手が移籍したFC東京のことを あまり知らない。
ちょっと調べたらサポーターソングで「You'll never walk alone」を歌うらしい。
フロン太くんとかマリノスケのようなマスコットがいないらしい。
この2点だけで、プレミアのリバプールのようなチームを目指しているのかな?と思うのは浅はかかな?
昨シーズンのユニフォームが微妙なデザインだったなあと、変なところだけ印象に残っている。もちろん、石川直宏選手と今野選手がいることくらいは知っているよ。
それにしても、なぜ、石川直宏選手はA代表にはいらないのかなあ。平山より断然FC東京の顔だと思うのだけど、なぜ平山なの?????と、イケメン度で判断してしまうが、それって、まちがっている??


そうそう、うれしいことに、サンフレッチェ広島は、主力選手がほぼ残留した。
これもうれしい。というか、これ、すごいことなんじゃないのかなあ。
駒野選手が移籍したのは残念だけど、駒野には無理は言えない。ぜひともA代表で活躍してもらうためには、仕方がない。柏木くん、よく残ってくれたなあ。(もしかして、レアルのサブチーム行きが決まりつつあるのかな?なら、広島からのほうが移籍しやすいよね)
来シーズンは、鳥栖でのアウエー戦の応援にいきます。
佐藤寿人がいるかぎり。
サンフレッチェサポーターさんのサイトで見た天皇杯の寿人の写真。
いい写真だなあ。来年は笑顔だよね。



タイトルの言葉はツネ様のブログからいただいた。
ザルツブルグの宮本恒靖選手の怪我はショックだった。
手術もすんだらしいが、5月くらいまで復帰できないみたい。
海外での大怪我は心細かっただろう。
それでも前向きなDIARYに心が揺さぶられた。

起こってしまったことは仕方ないから、これから先、何ができるかなって考えてるよ。

ドイツ語に「Das Leben geht weiter」って言葉がある。

「それでも人生は続く」ってね。

今はそんな心境。(宮本恒靖公式サイト・ダイアリー・2008.1.15より)


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by windowhead | 2008-01-18 18:48 | 紙のフットボール | Comments(0)

映画「魍魎の匣」はマカロニウエスタンだ。

京極堂シリーズが好きだから、やっぱり見に行った。

「姑獲鳥の夏」が映画化されたとき、あのレンガ本を2時間にするには無理があるねと思いながらも、実相寺昭雄監督が創りだす独特な夢幻の世界には満足していた。
実相寺監督亡き後、この世界を創れるのはだれなのか…と思っていたが、「魍魎の匣」の監督は、なんと「KAMIKAZE TAXI」や「バウンス ko GALS」の原田 眞人だ。
監督名を見た時点で、先の「姑獲鳥の夏」とは違った京極堂物になるだろうと腹をくくった。
そして、やっぱり違うものだったし、恐れず言えば怪しくノスタルジックな京極夏彦の世界ではなくなっていた。

上海ロケで撮影された戦後すぐの日本の風景は、ディティールにこだわっていても絶対に日本の空気感ではないし、エキストラの服装は日本の服なのに、やはりどこか日本人に見えない。
そのような場所で撮影されたせいか、俳優の演技もなんとなく日本的でないのが気になった。「姑獲鳥の夏」のときは、それぞれの男たちのキャラがはっきりしていたが、今回は特徴が消えてしまっている。破天荒な榎木津キャラがおとなしくなり、京極堂(中尊寺)は自分の台詞回しに酔う劇団俳優並みのはしゃぎ男になっているし、木場に至ってはやわなオタク男と化した。
残念ながら、この作品には、京極夏彦が書いた魅力的な男たちはいなかった。そして、ヒロインも。黒木瞳では日常的すぎるのだ。

だからといって、この作品が悪いということではない。
絶対に日本ではありえない空気感の土地に立ち並ぶ戦後の日本風景は、違った魅力があったテーマ音楽がタンゴ風の哀愁が漂う曲(チターが使われている?)なのもあって、無国籍な魅力があり、決して悪くない。こんなところがあったら観光に行きたいものだ。

いい男たちと、アクションと、本物には出せない無国籍さと、張りぼて的なうそくささ。
これはまさに「マカロニウエスタン」ではないか!!


最後のスペクタクルを作ることにエネルギーを費やして、京極ワールドを作り上げる大事なピースの積み上げがおろそかにされているのが一番寂しかった。
関口くんは、やさしさゆえにもっと情緒不安定であってほしい。榎木津礼次郎は「薔薇十字探偵社」という名が似合うほどもっと華麗なオレ様超能力者でいてもらいたい。中禅寺はここぞの出番以外は、せこせこ動き回って欲しくない。
そしてもっとも残念だったのは、京極堂の場所。「姑獲鳥の夏」で魅力的に再現されていた「目眩坂」が階段になってしまっている。息切れと立ちくらみは同じものぐらいにしか考えないデリカシーのなさがいかにも原田 眞人ワールドだよね。


京極堂ファンとして、この作品の中で最も好きなシーンは最後の中禅寺の家のシーン。
関口夫人、中禅寺夫人の登場で、無国籍がきっちりと日本に引き戻された。篠原涼子、清水美紗、さすがです。


話題になっている(?)「東京事変」のエンディング曲は、ミスマッチな雑音以外のなにものでもない。映画の余韻を断ち切った。

亡くなってわかる巨匠の意味。今更ながら実相寺昭雄監督の死の大きさを実感させられた作品になった。
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by windowhead | 2008-01-17 15:22 | 至福の観・聞・読 | Comments(0)

サッカー愛あふれる2冊

昨年末から今年はじめにかけて、興味深い2冊を読んだ。どちらもサッカーの裏方でありながらある意味『達人』と呼ばれる熱い男たちのお話。

b0009103_14405391.jpg「このピッチの上、円陣を組んで、今、散っていった日本代表は、私たちにとって『彼ら』ではありません。これは、私たちそのものです」
このアナウンスががいつの何戦かほとんど覚えていないのに、実況放送されたこのフレーズは今でもまるまる暗唱できるし、言葉と一緒にシーンがよみがえってくる。

天皇杯は絶対青空が似合う、それもキリッと身を切るような寒風の空がいいと勝手に思っている。そんな刷り込みをされたのは、きっとあの「私達は忘れないでしょう。横浜フリューゲルスという、非常に強いチームがあったことを。東京国立競技場、空は今でもまだ、横浜フリューゲルスのブルーに染まっています」という実況放送によってだろう。

『メキシコの青い空―実況席のサッカー20年』(新潮社)は、その格調高い実況放送を届けてくれたNHKサッカー実況アナウンサー・山本 浩さんによる1冊。
文字に起こされた山本師匠の名アナウンスを読んでいると、当時TVの画面の中で見たシーンが途切れ途切れだがよみがえってくる。
さすがに、タイトルの「メキシコの青い空に続いています」は覚えがないが、フランスW杯に向けてのアジア予選、フランスW杯、2002年W杯の予選、本戦など、文字の間からシーンがよみがえってくるという幸福な体験をさせてもらった。
長いもじゃもじゃ髪をなびかせ、いかり肩のラモスが必死に走る姿、中山が地べたを叩いて叫んでいる顔…。なぜか、私の中にはラモスと中山隊長の映像がいっぱい溜め込まれていたようだ。
当時の実況や解説はめまぐるしい試合を途切れることなく言葉に置き換えて伝えていたのだ。目をつぶっていても試合が見えるような的確な言葉と豊富なボキャブラリーに敬服してしまう。
残念なことに、この本を読めば読むほど、最近の民放の実況がいかに低レベルの技能しかないかわかってしまうんだよねえ。


b0009103_14413268.jpgもう1冊にもラモスが登場する。
『マリオネット―プロサッカー・アウトロー物語』 (山岡淳一郎著、文芸春秋社)
Jリーグが始まる前の読売サッカークラブでチームディレクターのキャリアをスタートさせ、後、ヴェルディ川崎や浦和レッズで、外人選手監督の移籍に辣腕を振るった佐藤英雄を追ったノンフィクション。

サッカープレーヤーの経験はないがサッカーが大好きな若者が、独学の外国語と、外人選手や監督への共感を武器にタフなネゴシエーターに育っていく。
Jリーグ黎明期のブラジル人選手たちの人脈がいかに日本のプロサッカーを支えたか、ヴェルディとレッズの源流となるチームの体質の違いはなんだったのか、その2チームでチームディレクターとして手腕をふるった佐藤の目指したものはなんだったのか、ラモスはなぜあんなに熱いのか、なぜ元祖浦和サポーターはオジェックを尊敬しているのか、さまざまなピースが佐藤英雄を介にして明らかになっていった。

タイトルの「マリオネット」は、佐藤が尊敬してやまない元読売クラブ監督、ジノ・サニの言葉からとられている。
「サッカーは、世界を舞台にくり広げられる命がけのマリオネット……」
その後に続く言葉の重さをかみ締めなければいけないチームが今のJリーグにもあるような気がする。(興味のある方は、本書の123から124ページをごらんあれ。もちろん1冊全部を読むことを強くお勧めしますよ。さわりは下に引用したけど)


「サッカーは世界を舞台にくり広げられる命がけのマリオネットなのだ。サトウ、いくら選手や監督が桁違いに高額の報酬を取ろうが、マリオネットを操るのは、君たちスタッフとその上にいるゼネラルマネージャーや経営者たちだ。トップこそ、命がけの糸を束ねるマイスターなのだよ。トップが鮮明なビジョンを持ち、果敢に行動しなくてはクラブは育たない。…」
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by windowhead | 2008-01-15 14:42 | 至福の観・聞・読 | Comments(0)

さすが!セルティック

深夜にスポーツ報知のサイトを見たら、速報で「水野選手に英国労働省から労働許可が下りた。」ことが報じられていた。

A代表での試合数が少ない水野選手は英国での労働許可を得る要件を満たしていないが、セルティク側は、特例枠で労働許可を得ることができると自信たっぷりだった。
反面、サッカー通の人たちのサイトでは、以前プレミアクラブからオファーがありながら労働許可が取れなかった宮本や三都主の例もあり、水野の許可は難しいとの声も多かった。
ところがどっこい、セルティックは、アジア人では初めての「エクセプショナル・タレント枠」で水野の労働許可を勝ち取った。もちろん水野が優秀な選手であったことが前提だが、「セルティック」の政治力の大きさに、改めてがセルティックが名門クラブなんだということを再認識させられた。

そんな名門クラブのCEOや監督から最も高い信頼を受けているのが中村俊輔だ。
今回の日本人獲得については当然俊輔に相談があったはず。うがった見方をすれば水野という人選は俊輔の意向かもしれない。俊輔は水野のポジションが右サイドのMFということは知っているし、セルティックの左サイドには、若くて優れた才能を持つエイデン・マクギティがいる。となれば、俊輔は右サイドを水野に任せて、もっとゲームを作れるポジションに自分が動こうとしているんじゃないかと勝手な想像してしまう。もちろん俊輔が移籍するときの「ポスト俊輔」としての布石でもあるんだろうけど。

チャンピオンズリーグを経験した感想の中で俊輔は、欧州ではマクギティのように20歳そこそこでチャンピオンズリーグを経験できる。それがうらやましいと言っていた。自分が羨ましいと思う経験を日本の若い選手に体験させたいというのも、若い水野を選んだ理由のひとつかもしれない。また、オランダVVVへの移籍をめざしている本田圭祐も、俊輔にアドバイスをもらったとスポーツ紙の記事にあった。
俊輔は、海外移籍するとき中田英寿にいろいろと教えてもらって助けられたということをことあるごとに語っている。
ヒデから俊輔に伝えられた経験。先輩への感謝も込めて自分の経験を後進につないでいくという系譜を水野もつないでいってもらいたい。
そのためには、早くチームに溶け込んで信頼され、結果が出せる選手になることだろう。意外と面倒見のよさそうな俊輔が付いているので水野は安心してがんばれそうだね。

それにしても水野のセルティック移籍は電撃的だった。他の選手たちの海外移籍話はちらほら出ていたが、水野はまったく聞こえてこなかった。ほぼ本決まりになってからの発表は鮮やか。周囲から当人が受けるストレスを最小に抑えるための極秘作戦だったのだろう。俊輔のセルティック移籍といい、今回の水野の件といい、ロベルト佃氏とスポーツコンサルティングジャパンの仕事は好感がもてる。選手の値段を吊り上げていくだけの代理人やセンセーショナルなパブリシティ先行のマネージメント会社と違って、移籍後のフォローや環境の整備、次のステップアップのことまで考えた長期的な戦略で選手をサポートしているように見える。同じ事務所がサポートしている長谷部にもいい結果がもたらされることを願ってやまない。

今後一番気になるのは、広島の柏木の動向。
レアル話があったが、それからピタリと動きがでてこない。案外、欧州シーズン終了後のレアル移籍がありうるのかも。それならば柏木は広島に残留してその話を待つだろう。

さらなるサプライズ移籍が起こるかも…1月いっぱいは目が離せない。
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by windowhead | 2008-01-10 11:26 | 紙のフットボール | Comments(2)

我那覇選手サポートにJリーグ選手協会が動いた

Excite エキサイト : スポーツニュース
Jリーグ選手協会は3日、ドーピング禁止規定違反で受けた処分取り消しをスポーツ仲裁裁判所に申し立てる川崎の我那覇和樹(27)を金銭的に支援するため、サポーターから寄付を募ると発表した。Jリーグ各クラブの選手にもカンパを求めている。記者会見した藤田俊哉会長(名古屋)は「我那覇選手の問題は、どの選手に起きてもおかしくない。サッカー仲間としてサポートしたい」と話した。(共同通信・エキサイトニュース)


新年早々うれしいニュースだった。
川崎フロンターレだけでなく、Jリーグ選手協会もいっしょに動いたというのが、うれしい。
まず、Jリーグの選手たちにカンパを求めて、同時にサポーターたちにもお願いするというのは正しい選択だと思う。
藤田選手が言うように、このような問題は今後もだれにおきるかもしれない。そんなとき、まずJリーガーという同じ仕事をしている人たちが協力し合うことが、選手の発言力や地位を高め、生活を守ることにつながると思う。

以前、我那覇選手の決断を応援するという記事をかいたので、私もさっそく募金をした。
新年早々、銀行のATMに並ぶというのも、なんか恥ずかしくもあったが、まあ、それはそれ。
ささやかな金額。
毎年、意味ないなあと思いながらも、「縁起物ですよ」という言葉に、ついつい、まあいいかと買っていた福袋。この袋に入ってくるファッション小物で素敵だと思った物はいまだにはなく、いつのまにかゴミになっていたので、今回は福袋を買わずに、我那覇選手サポート募金にあてた。満足感のあるお金の使い方(自己満足だけど)。これこそ「縁起物」になってくれそう。

このとき始めて知ったが、三菱東京UFJ銀行は、個人口座から同銀行口座への振込みは振り込み料金がかからないんだね。私のような地方在住者にとっては、三菱のような銀行は支店が少ないのであまり使えないと思っていたけれど、いやいやそれは認識不足だった。地銀もこれくらいのサービスをして欲しいものだ。さっそく眠っていた三菱の口座にお得感のない地銀のものを移すことにした。
時間外の振込みだったので、この募金が届くのは7日になるらしいけど、がんばってね我那覇選手。

そうそう、この記事のおかげで、Jリーグ選手会というものの活動も知った。
Jリーグ選手会のホームページに始めてアクセスしたけれど、なかなか興味深い。J2所属の知らない選手たちのインタビューなどもあるしね。
日本のサッカーといえば、日本サッカー協会のホームページばっかり見ていたけれど、これからは、「JPFA」(Jリーグ選手協会)のほうですね。こっちをまず第一にしようっと。
「JPFA]ホームページはhttp://j-leaguers.net/

さらに、「JPFA」に掲載されている、募金方法の詳細などは
川崎フロンターレ 我那覇選手 ドーピング問題 仲裁手続に関する募金のご案内
に書かれている。

また、川崎フロンターレ・ドーピング事件を検証して日本に正しいアンチ・ドーピングが実現することを願うHPも立ち上がっています。
http://sportsassist.main.jp/antidope/top/
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by windowhead | 2008-01-05 13:24 | 紙のフットボール | Comments(3)

めでたさの中にも緊張感がうれしい…

毎年感じるのだが、新年の賑やかなテレビ番組のなかで、「サッカー天皇杯」の爽やかな緊張感は捨てがたい。

鹿島アントラーズVSサンフレッチェ広島
予想どおりであり、夢は叶わなかった結果だったが、いいゲームだったと思う。
さすがに、攻撃の底をささえる柏木を欠いたサンフレッチェは、今までのように思い切った攻撃ができないまま、アントラーズのゲームコントロールの中にあった。それでもぎりぎりまでよく1失点で持ちこたえたと正直ホッとしていた。

ロスタイムでアントラーズは田代に変えて柳沢を投入。
いまさら、柳沢?時間稼ぎを柳沢にさせる?それは失礼ではないのか?と、鹿島のサポーターでもなんでもない私は思った。鹿島やサポーターにとって柳沢はそれほどの価値しかない選手なのかなあ?まだ30歳だよ、まるで39歳のゴン並のあつかい、それでいいの?
ちょっとの間、応援魂がサンフレッチェから柳沢に揺れたとたん、柳沢アシストで1点入ってしまった。正直に言うと、ボールを受けた柳沢がDFをうまくかわして、ゴールをそれたところにボールを蹴ったとき、柳沢は時間稼ぎのパスをタッチラインに出すつもり?と思った。TVの画面には、彼の視野は写らない。TV画面の外にダニーロがいるのなんか知る良しもない。ただ、蹴られた瞬間、ボールのスピードがパスのようにやさしかったのが不思議だった。次の瞬間画面に入ってきた足がシュートを蹴っていた。
W杯以来、柳沢は、ゴールの出来ないFW、ゴール意識の薄いFWの代名詞のように言われている。今回も自分で決めてもよかったのかもしれないが、ダニーロへのパスを選んだ。でも、あのパス、あの視野の広さは選ばれた選手しか持ち得ない才能だと思う。柳沢が怪我をしなかったら田代は今のポジションにいれたのかな。田代と柳沢の差がそんなにあるんだろうか。たった1分で1アシストする才能、前々回もロスタイムに入って得点していたっけ。それでも鹿島は彼をスタメンにはしないんだなあ。
こんな感慨にふける場合じゃなかったが、昨日のサンフレッチェは、完敗だった。
それでもこの経験は「1年でJ1に帰る」ための気持ちの支えになっていくと思う。そうなって欲しい。

そして、また、柳沢に話はもどる。
優勝カップを掲げる役割をみんなが柳沢に譲っていた。照れながらそれに答えてカップを掲げた後、すぐに他のチームメイトに渡して後ろのほうに並んだ柳沢。終始、にこにこしているのだが、感激の渦の少し外にあるような柳沢をみて、彼の移籍は決まっているんだなあと実感した。
その後、サポーターから「ヤナギといっしょ」コールがあり、サポーターの前に出て、スパイクやユニフォームを投げ入れたが、渡された拡声器に向かってはなにも言わなかったらしい。正直な人だ。
京都やベルディは、柳沢をスタメンで使うといっているようだ。なら、移籍でしょう。
強引なストライカーではないが、MFだってできる才能あるポリバレントFW。柳沢自身が鹿島の大御所になりたいのなら別だが、彼はそれよりもサッカーがしたいんでしょう。
彼には、ぜひとも彼らしいやりかたでゴールを量産して「QBK」などとあざ笑った人たちを見返して欲しい。あの言葉をお笑い芸人が、人を小ばかにするのに使っていたとき、「QBK」という言葉に傷つけられる日本人は柳沢だけではないんだと実感した。
柳沢には、「QBK」という言葉を死語にする使命があると思う。自分の足でこの言葉を消し去ってほしい。その過程を見続けたい。移籍はそのためのチャンスだと思う。

準優勝の賞状を持ち上げたときの佐藤寿人は、ちょっと複雑な顔をしていた。
決して喜んでいなかった。サンフレッチェの選手がみんなそうだった。
今後、移籍か残留かでチームの姿が変わってしまう可能性があるのだから。
願わくば、3月1日のゼロックスカップに登場するサンフレッチェのメンバーが今シーズンから変わりませんように。

3月までは、日本のサッカーシーンも短いお休み。
応援モードを、「俊輔、セルティックモード」にもどして、2月19日のバルセロナ戦を待つ!


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今年最初の本は
「広重殺人事件」高橋克彦(講談社文庫)
この人の浮世絵殺人事件シリーズは何度も読み返したくなる。
「天童広重」に新たな興味が沸いた。
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by windowhead | 2008-01-02 17:19 | 紙のフットボール | Comments(10)

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