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佐藤寿人、おめでとう!

サンフレッチェ広島がセレッソに勝ったようだ。
残念ながらこちらではTV放送がない。
YAHOOの速報をリロードしながら確認、確認。
2-3で試合終了。
これで正真正銘、J2優勝でJ1にカムバックだね。

佐藤寿人、今日も得点しているようだ。今日で22点。
本当に、よかった。本当におめでとう。

昨年のJ2降格が決まった日、泣きながらサポーターに1年で昇格すると誓った姿が今でも目に焼きついている。
そのときの言葉のなかに、このメンバーで!というものがあった。結果的には駒野やウェズレイをのぞいては、ほぼ「あのときのこのメンバー」がチームに残ってがんばった。

本当にうれしい。
寿人のブログに、前試合(J1昇格が決まった試合)の後、吉田のクラブハウスに「やべっちFC]からお祝いの花が届いていました!という報告が、花の写真とともに掲載されていた。
今年のサンフレッチェ広島は、だれもが応援したくなるチームだった。楽しいサッカーを見せてくれた。そして、そのチームを引っ張り続けたのはやはり佐藤寿人だと思う。
昨年までは、ウェズレイという相棒がいたが、今年はワントップ。小柄な寿人にどのようにしてボールが通るのだろうかと、心配していたが、中盤頃からその心配は不要だと思い知らされた。
寿人は、進化している。
これまでは、ターゲットのフォワードの周囲でこぼれ玉や裏を狙った飛び出しで得点していたが、今年は、自分からスペースをつくり、そこにボールを呼び込んでいる。
寿人の走り出しに引っ張られるように前線にボールが入ることが多くあった。
これは、寿人の進化。
そして、その進化のきっかけを作ったのは、昨年のアジアカップ時の中村俊輔の言葉だったらしい。
そういえば、中村俊輔は「寿人は人がいいから出てくるボールにあわせようとするけど、もっと自分から要求するような動きをしたほうがいい。もし、そこにボールが出せないのなら、それは自分(俊輔)のほうが悪い。」というようなことを、言っていた。
佐藤寿人は、その言葉を素直に受け止めて、それを実践していったのだ。
それができてくると、バーレン戦で再会した中村俊輔は、「最近得点しているようだけど、j2はゆるいんじゃない」と言って、寿人をさらにあおっている模様。
俊輔は、この得点を来シーズンはJ1でみせてくれよ!と寿人をたきつけているのだ。
寿人は寿人で、中澤に「がんばってくださいよ、J2は本当に大変ですから」と言っていたようだから、あおったり、あおられたりはお互い様。日本代表は、なかなかいいコミュニケーションがとれているようだ。

さあ、これでサンフレッチェ広島は、次は何をめざすのかな。
勝ち点100越えというあっけにとられるような記録を目指すというのもある。
天皇杯優勝も目標になる。
佐藤寿人は可能な限りゴールを積み重ねてほしい。
ゴールを決めると、両手を広げて、ゴムマリのようにはじけたステップで走りこんでくる佐藤寿人の姿が大好きだ。

佐藤寿人、おめでとう!!

●昨年オシムジャパン合宿時の寿人と俊輔の話
サムライ通信合宿初日 若手に与える中村俊輔の"存在感
●佐藤寿人と俊輔の話は東京中日スポーツにも掲載されていた。
【蹴球探訪】寿人が語る 広島スピード復帰の秘密(東京中日スポーツ)
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by windowhead | 2008-09-28 15:39 | 紙のフットボール | Comments(2)

キャプテン佐原

休日なので朝っぱらから多摩川クラシコの録画放送を見た。
すでにFC東京が赤峰選手の1点を守りきって勝ったという結果は知っている。
それでも、ゲームを見てみたいと思わせる私的な要素がたくさんある。
川崎フロンターレというチームがなんとなく好きだということ。
FC東京の監督さんがなかなか魅力的だということ。
それと、もう1つ大きな要素は昨年まで川崎だった佐原秀樹選手が、敵チームとして初めて古巣のピッチに立つというところ。

佐原選手は、キャプテンマークを巻いて先頭で入場してきた。
試合後のインタビューで佐原自身が語っていたが、キャプテンマークは、試合が始まる直前に城福監督から渡されたもので、今回だけのものらしい。監督さんの粋な計らいというのもだろうか。(もしかしたら、熱くなりすぎる佐原に、絶対に途中交代や退場がないようにキャプテンマークで釘をさしたのかもしれないけれど)それを素直に受け取って、意気揚々と出てくる30歳の佐原、そんな佐原を拍手で迎える川崎のサポーターたち。
選手もサポーターも熱いんだけど殺伐としていない気持ちのよさが、この2チームを見たくなる理由かもしれない。これは、ガンバ大阪にも通じるんだけど。


ゲームは、解説の原博実さんが言うように、ジュニーニョが不調で川崎の攻撃のリズムが狂っているのと、今野選手退場になってから、FC東京が守りの意思統一を崩さなかったことでFC東京の辛勝という結果になった。
試合終了と同時に、大の字に倒れこむFC東京DFラインと、大写しになった中村憲剛選手と川島選手の呆然とした顔が、どちらも必死の戦いだったということを物語っていた。


ヒーローインタビューを受ける佐原を見ながら、本当にこの選手はピュアでまじめなんだなあと思う。
川崎フロンターレ創設時にプロ選手としてのスタートを切り、それから11年間フロンターレ一筋の選手だった。
移籍当初、184センチの長身足長、ジャニーズ系といわれるキュートな小顔、サラサラの茶髪の外見を見た多くのFC東京のサポーターたちは、なんだかチャラチャラした奴が入ってきたなあと思ったはずだ。FC東京には、茂庭というサポーターから愛されているCBがいる。レンタル移籍とはいえ、茂庭より年上で、赤紙黄紙常習の佐原をなんで取るんだろうと思ったはずだ。
しかし、城福監督は、佐原の本質的な良さを知っていたのだろう。それは、川崎フロンターレの関塚前監督も同じだったし、川崎の選手やサポーターも知っていたのだろう。

生え抜きでありながらなかなかスタメンに入れずチームに居続けるのは苦しいはずだ。それでも、ひねくれたり投げやりになることなく熱いモチベーションを保ち続け、スーパーサブとしての役割を果たし、ずっとそのチームを愛し続けている。そんなまっすぐなまじめさを知ってくれている監督とめぐり合えていたのは佐原の星の強さなんだろう。
佐原秀樹という選手の魅力は、いくつになっても温かい家庭環境で育ったガキ大将というイメージ。
ある意味、頼もしいキャプテンになれるキャラクターなのだ。


最近チラッと目を通す雑誌やFC東京関係の印刷物、Webなどで、実に多く「ヒデさん」という名前に出会う。「ヒデさん」というのは、佐原選手の愛称のようだ。
特に若い選手たちのインタビュー記事の中でよく「ヒデさん」が登場してくる。
移籍してきた若いGK荻選手は、一番仲良しがヒデさんで、一緒に外出したr相談に乗ってもらったりすると言い、FC東京ユース出身の若いDF吉本君もヒデさんと最初に友達になったのは僕。ヒデさんみたいに1対1に強いCBになりたいと言っている。
一番驚いたのは、最近バラ見した「サッカーai」という雑誌で、これもFC東京ユース出身の成長株DF椋原健太君がインタビューのなかで、ずっとヒデさんと一緒にプレーしたいと、マダムキラーな笑顔でラブコールしているのだ。
ほんの半年くらいで、そのチームの生え抜きや人気選手を差し置いて、これほど若い選手のハートを射止める30歳はそういないだろう。
中澤祐二と同じ年齢、高校のチームメイトは中村俊輔とくれば、さすがに彼らのような風格はないが、人の心を温かくするプラスのオーラみたいなものを佐原秀樹は確実にもっているのだと思う。
本人は「このキャプテンマークは今日だけのものと思います」と言っていたが、また必ず「キャプテン佐原」を見られる機会は出てくると思う。そのときはまた、さらに熱く佐原らしくあってほしい。


今期セルティックの試合でどんどん前線に飛び出してフィニッシュに絡む中村俊輔のプレーが印象的だ。そんな中村俊輔のシュートを身体を張って跳ね返えす佐原秀樹という、同級生対決が見られる日も近い将来実現しそう。

地元にJリーグチームがないためサポーターになるチームはないが、特徴のある選手たちを見ることでJリーグも違った楽しみ方ができると最近感じている。
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by windowhead | 2008-09-23 13:54 | 紙のフットボール | Comments(1)

中村俊輔3度目のチャンピオンズリーグが始まった

いよいよ、中村俊輔の3回目のUEFAチャンピオンズリーグ、チャレンジが始まる。

今週初めのニュースなどによれは、中村俊輔は早ければ来年1月にもJリーグに復帰するかもしれないという。となると、最後のチャンピオンズリーグになるのかもしれない。
「中村選手、Jリーグ復帰か!」というニュースは、唐突だと思いながらも、潮時なんだなあと割と冷静に受け止めた。
「僕がスコットランド人なら、ずっとセルティックにいたい。しかし自分は日本人。家族もいる、日本代表のこともある。いつかは日本に帰らなければならない。」
すごくまっとうな、彼らしい言葉だと思った。
本人もスペインリーグでプレーしたいと時折言っていたので、スペインに行かず日本に帰るというのは本懐を遂げないままの帰還になるのかという見方もあるだろうが、そうではないのだと思う。彼の年齢的な現実とスペインリーグの現状を見ると、きっとそれほど情熱を掻き立てられるリーグではなくなってきたということなのかもしれない。
さらに昨シーズンのCLではバルサとリーグガチンコで戦ったし、今回もビジャレアルと戦える。スペインの経験値としてはこれで十分なのかもしれない。

今、サッカーの中心はイングランドプレミアリーグだ。世界的にもっとも優れた選手たちがプレミアに移籍しているのをみると、そう思える。
スコットランドプレミアリーグはイングランドプレミアとはまったく別物だが、おそらく以前よりは世界でも注目され、評価されるリーグになっているのではないだろうか。少なくともセルティックとレンジャーズの2チームは、日本人評論家が田舎チームなどと書いていることよりは、ずっと高い評価を欧州(=サッカーの中心地)で得ているというのが現実なのだろう。

それは以下のような出来事でもわかる。ドイツ代表の、セルティック右SBヒンケル選手のインタビューが先週のデイリーレコードに掲載されていたが、ブンデスリーグ所属のドイツ代表選手はもちろん、あのバラック選手までが、オールドファームダービーの独特の雰囲気に強い興味を示しているという。
また、ヒンケル選手がドイツ代表に召集されたのは、セルティックの右翼で中村俊輔と連動してプレーできていることやセルティックでスタメンを続けていることが評価されたからだという。

セルティックの中村俊輔という存在は、欧州サッカー界では、それなりの高い評価の位置にいるのだろう。それは、UEFAが、機関誌の表紙に彼を取り上げたり、今回のようにUEFAの若年層向けトレーニング用映像配信のフリーキック部門に彼を登場させているのでも分かる。今やヨーロッパ随一のフリーキッカーと折り紙が付いた様なものだ。

このような実績を上げながら、中村俊輔の中でなにかが変わっていったのだと思う。恐らく彼は、自分の役割は、海外での成功経験を日本に還元する最初の人になることだと悟ったのではないかな。本来なら、この役割は中田英寿が担うはずだったが、サッカー界を離れてしまったので、順送りに自分が担うべきだと考えたのではないかな。それくらい、日本とヨーロッパでのサッカーは違っているのかもしれないし、日本の認識がいかにも遅れているのかもしれない。さらに日本代表への危機感もあるのだろう。

中村俊輔にとっての日本代表は、自分が選ばれるかどうかという次元の問題ではなく、日本代表が世界の舞台に立てなくなるかもしれないという危機感なんだろう。中東の著しい台頭、それも日本よりずっと洗練されたサッカーをするチームが出てきていることが大きな要因だと思う。
「日本を強くする!」そんな思いが強くなってきているのではないだろうか。

だからといって、中村俊輔は、日本サッカーに殉じようとは、さらさら思っていないはずだ。
軸足をヨーロッパから日本に移しただけでまだまだ、世界にチャレンジするつもりだろう。そのためにもW杯最終予選を何がなんでも勝ち抜かなければいけないからだ。

さらに、もう1つ世界の強豪と戦える場がある。クラブワールドカップだ。
CL杯の優勝チームと対戦できる最高の場は、クラブワールドカップなのだ。
中村俊輔がJリーグで戦う時には、その目標はクラブワールドカップに置くはずだ。そのためには、Jリーグで優勝が狙えるチームでなければならない。マリノスの監督は、マリノス愛があるのだからJ2になっても来てくれるはずだなどと寝ぼけたことを言っているが、中村俊輔はサッカー選手としての余生を送るためにJリーグに戻ってくるのではない。ヨーロッパ最強のチームや南米最強のチームと戦うための最短コースがJリーグにあると見通して戻ってくるのだと思う。

そう考えると、中村俊輔の次のステージも、なかなか興味深いものになりそうだと、ワクワクしてくる


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by windowhead | 2008-09-18 04:04 | 紙のフットボール | Comments(2)

それは、逃げられないからなんです

全米オープンテニス、女子ダブルスで杉山組がベスト4に入ったらしい。
北京五輪のソフトボールやサッカー、レスリングや柔道などで、女性たちがすばらしいがんばりと感動をみせてくれて以来、私の周辺でも、「女子はすごい」だの「女子は元気だね」だとの声が多い。
仕事の場でも、やたらと「いつも元気ですね」だの「これからは女性の時代ですよ、女性にがんばってもらわなきゃ」だの「さすが母は強しですよね」などという言葉を耳にする。なんだか気持ちの入っていない微妙なほめ言葉に女性たちの多くは、正直「ハァ」と曖昧に答え、お茶を濁しているだろう。
「ハイ、がんばります!」と能天気に応えるほど女性たちの未来が明るいわけではない。母親になった女性が働くための環境整備はいまだに不十分だし、仕事や賃金の格差も歴然とある。サッカーだけ取っても男子と女子の報奨金の差は一桁違うのだ。

ああ、また男女の格差の話かと思われるかもしれない。
違うんです、もっと深刻なものが潜んでいるようで気になっているのです。


「女子はすごいよ」と言って自ら思考停止してしまっている人たちが問題。
「まあ、なんとかがんばりますから、そちらも…」と返すと、「いやあ、男はだめなんですよ。男は繊細な動物なんですよねえ。」なんてことをぬかす。「しょせん、男は女から生まれたものだからね」などと言いながらも、その目はへらへらとして誠意は見えない。こんなケースは、上司と呼ばれる人だったり、責任者だったりに多い。

おい、そこで投げ出すなよ。思考停止するなよ。あなたたちが権威と自信をもって作ってきたものだろ。うまくいかなくなったから降りますはないでしょう!


「僕もがんばったんだけど、そもそも前の人の後始末だったし~」と言って、日本の首相が逃げた。
「弱かったから負けたんだ」と五輪野球の監督やサッカーの監督は潔いふりをして逃げた。「OA枠を使わなかったのが敗因だ」とサッカー協会会長が逃げた。
彼らの迷走に付き合わされたた国民や選手たちは、いい迷惑。
国民や選手たちは、だめだからといって、国民をやめたり、選手を辞められるほど豊かな生活はしていないのだから。だから、必死なんだよ。特に女子は。


もう一人、「止めた!」と言いそうな人がいる。ずっと責任回避のコメントを発してマスコミやファンを煙に巻きながら生き残ってきた人。
サッカー日本代表の岡田監督。
オシム監督が倒れ、彼が監督を引き受けてからほぼ10ヶ月。日本代表はW杯出場をかけて最終予選を戦おうとしている。決して楽な戦いにはならないというのに、未だに岡田監督は新しい選手を招集し、テストしている。
大黒選手の初招集は、彼が岡田監督の戦術に合うということで召集したのだと思っていたら、合同練習では大黒選手は昔ながらの大黒のままで、守備意識は希薄な模様。
岡田監督の戦術ではボールが前線に繋がらないのを見かねて、遠藤選手が攻めあがり方について、岡田監督と議論していたという記事もでていた。そんな不安の表れか、流通経済大学との練習試合に負けてしまった。それでも、岡田監督は、海外組が合流すると攻めの形ができるから心配していない。と言ったらしい。

ところが、今朝、恐ろしいことが…。
海外組で、このチームの攻撃のポイントとなるはずの中村俊輔選手が、先日のウルグアイ戦のDVDを見て「チームの形ができていない。なにをしたいのか見えない」と戸惑っていたと言う記事が掲載されていた。
6月の予選を一緒に戦い、それなりのイメージを持って彼がグラスゴーに帰ってからまだ2ヶ月しかたっていない。その2ヶ月で日本代表はまた違った形になろうとしているということなのか。目指す形が見えないのに変化を求められれば選手たちは戸惑い不安になるはずだ。おまけに、初戦の勝ち負けが、W杯出場権獲得のキーポイントという大きなプレッシャーも背負っている。国内組の選手たちにのしかかるプレッシャーはかなり大きいだろう。その基盤を信じて合流する海外組は、さらに戸惑うはずだ。
戸惑い不安を抱えても選手たちは勝ちを信じて必死に戦うだろう。W杯の重さを一番知っているのは選手たちだし、彼らはおいそれとサッカー選手から降りることはできないのだから。

ところが小賢しい監督さんは、バーレーン戦でのエクスキュースを既に用意している。バーレーン戦は「海外組の個人技と攻撃力が鍵」と予防線をはっている。もし負ければ、海外組が思わしくなかったと言えばいい。さらに「選手に問題があったが責任は監督にある」と言って辞任すれば、「責任を取った岡田は潔い」との報道もなされるだろう。それくらいの腹積もりがあるはずだ。
勝てば、結果オーライで、次の試合まではもつ。決断を先延ばしにすればするほど、最終結果は最悪のものになる。最悪の状態を考えたくないから、あえて思考停止する。まるで、日本政府の縮図をみているようだ。

いつも気の毒に思うのは選手たち。
結果がよくないと、人格否定なまでに叩かれる。
監督や協会には、言葉でアピールしたり弁解する場が与えられるが、選手たちにはその機会もない。社会ではまだ若造扱いの20代の青年たちが、決して多くもない報酬でプロとして国の威信を背負っている。彼らは、結果をチームメイトや監督のせいにしない。すべて自分たちで背負ってしまう。負けたときの彼らを見ると、いつも切ない気持ちになる。


6日深夜(7日未明なのかな)は、TVに向かって必死で応援するしかない。
必ず勝ってくれると思っている。

しかし、バーレーンに勝っても負けても、日本代表監督はこのままでいいのか、再度熟考して欲しい。これが最後のチャンスだと思う。
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by windowhead | 2008-09-03 14:30 | 紙のフットボール | Comments(0)

組織の成長に必要なのは「祖母力」

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祖母力 -オシムが心酔した男の行動哲学ー 
祖母井 英隆 著
光文社

合宿中の日本代表が練習試合で流通経済大学に大負けしたとのニュースが流れた。
オシム監督が率いていた昨年の今頃、日本代表は海外組をトッピングできるほど国内組での基盤はしっかりと自信に溢れていたのに、なんでこれほどガタガタになってしまったのだろうか。今の代表はオシム監督が作った代表と大きくメンバーが変わってしまっている。オシム監督のポリシーを表現する選手が姿を消している。改めて、オシム監督と彼が育てた昨年の代表チームがたちがいかにすばらしかったかを思い知らされた。
そのオシム監督をジェフユナイテッド千葉に招聘し、ジェフの主力選手を育てたのが、この本の著者 祖母井(うばがい)英隆氏だ。

この人には「旧来の日本男子の美しさがある」というのが、この本を読んで最初に感じたことだ。
頑固さと謙虚さ、尊敬する人への私欲を配した献身、弱者へのやさしさ、他者への感謝の気持ち、行動力と経験で積み上げた実力…。
高度成長期までの日本を支えて働き続けたモウレツサラリーマンや、日本のお父さんの姿だ。誠実で頼れる日本の根幹をつくった古臭い男の系譜の尻尾が祖母井さんなのかもしれない。

お金では動かないというオシム監督を誠心誠意を尽くして招聘し、日本での生活をサポートするため、自分の私生活は二の次で細やかに気配りし、影に日向に支える献身的な姿に、 古い時代の忠臣の姿を見る。
ジェフで育成した若い選手たちが、身の程以上の金銭で身を持ち崩したり、汚れたりしないように、ことさら金銭面を重視する代理人を近づけないように配慮する姿に、息子を守る父親の姿が重なる。
昨今持てはやされているマッキンゼー出身だのMBA取得だののビジネスエリートから見れば、祖母井さんの仕事の仕方は、非効率的でマニュアル化しにくい、古臭いビジネススタイルとして一蹴されることだろう。しかし、資格やマニュアルを重視し、現場での人心を軽んじるビジネスエリートたちのやり方では知名度や富は得られても、尊敬や信頼を得ることは難しい。祖母井さんの仕事の姿勢には尊敬や信頼を第一にした昔ながらの仕事の基本を感じる。

だからこそ、ビジネス至上主義の日本サッカー協会のお歴々とは相容れない部分があるのだろう。川渕氏への厳しい評価も垣間見ることができる。。
GMとしての実績とヨーロッパサッカー界での広い人脈をもつ彼を日本に引きとどめなかったのは日本のサッカー界の怠慢だろう。彼は富や名声を求めてグルノーブルに行ったわけではないのだから。

世界のフットボール界の名将オシムとまさに二人三脚で日本フットボール界に新たな希望をもたらした男の半生記が伝えてくれたのは、素直な人間らしい気持ちの大切さと理想のリーダーとは欲にからめとられない自由な立場を保てる人だということ。

「決してスタンドプレーに走らす、そっと後ろから見守り、細かい気遣いをする。かといってたやすく流されず、筋を通す気骨を持ち、対極を見通す見識を兼ね備える。そんなおばあちゃん的な存在が、サッカー界に限らず、あらゆる組織には必要なのではないか。」と言う。そんなおばあちゃん的スキルを祖母力と名づけて、50歳代後半から新しい環境で新しい仕事に取り組む祖母井さんの姿は、時代にスポイルされそうになる中高年に大きな力をくれる。

2007年から祖母井さんがGMとしてチームの改革に取り組んだ「FCグルノーブル」は、今シーズン、45年ぶりにフランス1部リーグに昇格した。
いつかグルノーブルの練習場で、元気なオシムさんの姿を見ることができるんじゃないだろうかという期待感を抱かせるほどこの本は輝いていた。
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by windowhead | 2008-09-02 10:12 | 至福の観・聞・読 | Comments(0)

日本の西海岸・長崎からのつぶやきはビンの中の手紙のように漂いながら誰かのもとへ


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