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国芳って、大友克洋みたい

国芳って、大友克洋みたい_b0009103_12224476.jpg長崎歴史文化博物館で明日24日まで歌川国芳展が開催されている。

父ゆずりの国芳好きなので、国芳と聞けばつい足が向いてしまう。
いろんなところで何度も見ている国芳展だが、何度見ても楽しめる。
浮世絵は、半紙1枚のサイズの中にいろんな情報が含まれていて、その時その時の自分の興味のあり方で違った見方ができる。
長崎でもいろいろな趣向をこらしてあったが、なんといっても私にとっては武者絵が一番!
武者絵のコーナーになってくると、自然とテンションがあがる。
今回、長崎歴史文化博物館の若手学芸員の方の解説も聞いてみたが、その中で、目から鱗の言葉が!!

「水滸伝や三国志は、長崎を通って日本中に広がったのです。唐通事たちの仕事のひとつです」
唐通事たちが日本最初の読者だったんだ。彼らが訳したものを物書きの山東京伝たちが、庶民が楽しめるワクワクする文章に書きなおして広まっていったんだ。

そして、その挿絵や表紙を国芳が描いた。
展示品に、京伝作、国芳画の水滸伝の草紙本が数冊展示されていた。
ガラスケースの中なのでページを繰ることができないのが、本当に残念。
ちょうど漫画の単行本くらいの大きさ。開いてあるページには見開きで色刷りの国芳の絵がいっぱいに摺られていた。
もしかしたら、日本の漫画単行本の体裁って、この本あたりが原型なんじゃないかと思うほど、現代にも親しみやすいものだった。
漫画といえば、国芳ファンは漫画家さんにも多いらしく、水木しげる氏など有名らしい。
『荷宝蔵壁のむだ書』 に書かれている二本足立ちの猫はまるで赤塚不二夫氏の「ニャロメ」。赤塚氏も好きだったのではないだろうか。

そして、きっとこの人も国芳が好きなはずと感じたのが大友克洋氏。
国芳の武者絵の異次元感や、枠破りな構図やからくり紋々の緻密な書き込みやぶつかり合うエネルギーの爆発や力のみなぎった人物の手足の格好よさ。
3枚続きの武者絵と画面いっぱいの水滸伝の登場人物などを勝手に交互に見ていると、ふと「AKIRA」を最初に手に取った時驚きがよみがえってきた。
「ああ、国芳って、今の大友克洋なんだ!」
と、勝手に納得している。

いつも思うのだが、幕末最後まで徳川幕府に与した彰義隊など旗本の子息や伊庭八郎や新選組の近藤、土方、沖田、斉藤などは、国芳全盛期に江戸や近辺で少年期を過ごした人たちが多い。
国芳の絵に無邪気に憧れながら、剣士としての自分の将来を思い描いていたのではないだろうかと、常々感じていた。
石田散薬の葛籠を背負った薬売りの懐の中に大事の折りたたまれた国芳の絵があってもおかしくないような気がする。
「ばらがき」ってあだ名こそがそれの証のように感じるのは、私だけかなあ。

広重、国芳、芳年、川鍋暁斎、そして小林清親
大好きな絵師たち。
彼ら5人に通じるものが、自分の嗜好のバックボーンなんだと最近感じている。
by windowhead | 2013-07-23 12:23 | 至福の観・聞・読

日本の西海岸・長崎からのつぶやきはビンの中の手紙のように漂いながら誰かのもとへ


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