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たかが「10番」されど「10番」

FマリノスもVファーレン長崎もシーズン始動した。
マリノスの10番は始動前の神戸チャリティーマッチや奥大介さんのメモリアルマッチで先輩達とともに楽しそうにプレーしていた。彼の背中には10番。そしてそれを見ているだれもが「やっぱり10番は俊輔が一番似合うなあ」とつぶやいている。他チームのサポーターたちでもそうつぶやいている。

背番号なんてただの番号だから、誰が何番を背負おうが問題ないという考え方もある。ただ世界のサッカーの歴史の中で特別の番号というものもあり、それが踏襲されている部分もある。
「10番」はある意味その最たるもの。世界でも日本でも10番はやはり特別の意味を持つし、選手達からも特別なものとして一目置かれている番号だ。
中村俊輔選手がマリノスで10番を背負ったのは入団3年目で、Jリーグ最優秀新人賞という実績を上げた翌年だし、7年間10番を背負った俊輔がセリエAレッジーナに移籍した翌年は空き番号になり、その次の年に遠藤ヤットのおにいちゃん遠藤彰弘が背負い、山瀬功二、小野裕二に引き継がれた。小野君がベルギー移籍して10番は空いたが1年間は空き番号にしていた。2014年俊輔が再び10番を背負うことになったがそのときも「木村和司さんが着けていた番号」とその歴史の重さを背負う決意でもって10番を受け取っている。だれもが納得の10番である中村俊輔さえチームの歴史と功労者へのリスペクトを込めて背負う番号なのだ。

今シーズン、浦和レッズの槙野選手が自分がチームを背負うとアピールして10番を欲したが受け入れられなかったというニュースもあった。サンフレッチェ広島は今シーズンオーストラリアリーグに移籍したファンタジスタ高萩選手の10番を空き番号にしている。

Vファーレン長崎の10幡は昨シーズンまで佐藤由紀彦選手が背負っていた。6年間チームの精神的支柱として、プレーとその生き様でチームを引っ張り、チームをJリーグに昇格させた功労者・佐藤由紀彦選手。長崎の生え抜きではないが彼の姿には選手だけでなくサポーターもサッカーに関係ない人たちでも少なからず勇気づけられ、その人達は彼をリスペクトしている。つい2ヶ月前、彼の功績を忘れないといって送り出したバンディエラ。
長崎の10番も今シーズンは空き番号になると思っていた。由紀彦の功績を思うと背負える選手が出てきていない。長崎の10番だってマリノスの10番のような歴史的な番号だと思えるからだ。

ところが、長崎の10番は空き番号にならなかった、それどころか、その実績もわからない移籍してきた選手に与えられた。昨シーズン空に番号になっていた有光亮太の13番も同じく実績のない大卒の新人さんに与えられた。
唖然としてしまった。せめて空き番号にしないのなら昨シーズンまで一緒に戦ってその重さを知っている選手に与えるべき番号だろう。由紀彦やアリのスピリットを感じ取ってきている古部選手や神崎選手、佐藤洸一選手もいるじゃないか。完全移籍してくれた黒木だって10番の覚悟はできると思う。なぜに新加入選手なのか?

こんなことを書くと、それぞれ背番号を背負った選手に悪いじゃないかという人もあるだろうが、彼らを責めているのではない。10番をもらった花井選手がツイッターで軽々しく受け取ったのではないという決意を込めたつぶやきをしていた。彼の気持ちの負担はよくわかったし、恥ずかしくないように頑張ってくれと伝えたい。
腹が立つのはクラブ側の姿勢なのだ。背番号を引き継ぐ物語はひとつの儀式でもありニュースネタにも集客にもなるものをむざむざ自ら手放してしまう無能さ。金がないなら話題を作って集客につなげるくらいの切実さを持って欲しい。花井選手をイケメンでスペシャルな選手として売ろうとしている魂胆は見え見えだが、代表クラスの技術と能力というならみせてもらおうじゃないか。代表の10番で苦悩してきた選手を10年以上見続けている私に言わせれば軽々しく代表クラスなんて表現は代表選手に失礼ということ。イケメンネタで集客できるほど女性は甘くないし、財布のひもも固いのだ。高杉選手たちが女子サポを集められるのはイケメン以前に彼のプレーが魅力的であり、彼のファンサービス精神がしっかりしているからなのだ。

背番号なんてたかが番号でしかないのかもしれない。しかしそれをモチベーションに頑張る選手達がいるのも事実だし、その番号に自分の夢を託してきたファンがいるのも事実。
クラブの歴史と選手やファンの気持ちを汲み取るくらいの細やかさがないと集客もおぼつかないものになるのではないかしら。

まあ、一由紀彦ファンとして、今回の10番付与(あえて継承でなく)には納得いかないのです。
by windowhead | 2015-01-22 16:08 | Vファーレン長崎

日本の西海岸・長崎からのつぶやきはビンの中の手紙のように漂いながら誰かのもとへ


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