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「暁の旅人」を読んでいたら順大の選手が来た

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小島養生所跡遺構保存問題が気になってから、近代医学と長崎の関係を調べていたころの本や資料を引っ張り出したりしている。
昨日から再読しているこの本もその1つ
「暁の旅人」 吉村 昭 著
奥付を見たら2005年初版。もう12年も前の小説
この物語の主人公は 幕末明治を生きた医師・松本良順

蘭方医佐藤泰然の次男に生まれ、泰然の大親友で御典医の松本良甫のところに婿養子として迎えられた良順。
長崎医学伝習所を設立し、日本初の西洋式病院兼医学所である「小島養生所」の開設と運営に尽力した良順は、オランダ軍医ポンペについて直接最新の西洋医学技術を学び、日本人で初めて実証的な西洋医学を身につけた人物となる。(シーボルト追放からポンペが来日するまでの40年間、日本の蘭方医は蘭学所や医学書で西洋医学の概念を学ぶことしかできず、実証的な医学は空白状態だった)
良順は幕府の御典医だったので、戊辰戦争で江戸幕府が崩壊したあとも、幕府に殉じようと江戸脱走の幕府軍とともに会津、奥羽に逃れ、戦に傷つく幕府軍兵士たちの治療にあたる。最後まで幕府に殉じようとした御典医は良順のみだという。
明治になって謹慎も説かれてから明治政府から請われて初代陸軍軍医総監になり、軍医学の進歩に貢献する。
良順の魅力は、その行動力とまっすぐな生き方にあると思う。
また長崎に住む私にとっては花月でその書をみたり、長崎大学医学部の資料館で資料をみて身近な実在の人物となっている松本良順が、ドラマや漫画でも人気の高い新撰組の近藤勇や土方歳三と懇意だったというさまざまなエピソードを知って彼らがほんの150年くらい前の実在の人物という実感を得られたし、新撰組や戊辰戦争を幕府側の視点から検証する視点も得ることができた。
「暁の旅人」は今の長崎に暮らす人にはぜひ読んでほしい一冊だ。

再読途中の今日、すごくうれしいお知らせが入った。
Vファーレン長崎に順天堂大学から2人の選手が新卒で加入することになったという。
順天堂大学といえば、松本良順の実父・佐藤泰然が開設した蘭方医学塾がその基礎になっている。
泰然はシーボルトの鳴滝塾に学んだ蘭方医だ。
村上キャプテンといい、今回加入した米田隼也選手や新里涼選手たち順天堂大学出身の人たちが長崎を選んでくれたのも、何か遠いところで引き合うものがあったのかもと穿った見方をしたくなったり😅…

小島養生所跡遺構にも順大からのニューフェイスたちにも良い未来が訪れますように。

by windowhead | 2017-12-15 17:09 | 至福の観・聞・読

日本の西海岸・長崎からのつぶやきはビンの中の手紙のように漂いながら誰かのもとへ


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