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「やぶいり」に妖魔あり!!「百鬼夜行抄」

「やぶいり」に妖魔あり!!「百鬼夜行抄」_b0009103_13495277.jpg13巻が出ていた。お盆の最中にこの本を手にするのも何かの因縁。
「ねむき」連載のこのまんがもすでに13巻。月1回くらいのペースでの連載でもう10年も続いている。律くんも浪人のすえに数巻前で大学生になってしまった。大学生の律くん、勉強はあまりしていないので、すでに留年しているのかも。

摩訶不思議なものが見えてしまう高校生飯嶋律くんとその家族たちのお話。、ユーモアたっぷりでほのぼのとした日常と同じ次元に登場する魔物たち。人間の思いの強さがもたらす魔物や魔界は、ある時は邪悪であり、ある時は美しく、また悲しい。
小説家だったおじいさんが魔界との付き合いがあり、律もその血をついで、魔物が見える。おじいさんは死ぬとき、律と家族を守ってくれるように、青嵐という魔物と契約を交わす。事故で死んだ父親の姿を借りた青嵐と同居する飯嶋家の人々。
飯嶋家は、おばあさんとお母さんがお茶やお花の先生をして家計を支えている。このおばあさんとおかあさんのおっとりとした雰囲気がいい。魔界との接点でもある自宅で普通に自然に日常が営める女のしなやかさがすてき。

律を助ける(やや困らせる感もある)小鳥の妖怪尾白と尾黒がユーモアの要にいる。律を「若!」と呼び、「~~まする」と大河ドラマのような武者言葉を話す小鳥たちは、命を救ってくれた律に忠実に従っているが、時々、行き過ぎて困ったことを引き起こす。

妖怪たちは、妖怪なりの考え方で行動するので、人間とのずれが出てくるのだが、そのずれを楽しむのもこのまんがの楽しさかもしれない。とはいえ、話の多くは、人間のおろかしさや、深い想いが呼び寄せる魔物とそれを退治する律の物語なので、一件落着しても手放しで喜べない「哀しみ」が漂う。


最近、「百鬼夜行抄」を手に取ると、必ず,畠中恵の「しゃばけ」シリーズを連想する。
大店の病弱な若旦那とそれを守る2人の妖怪たちが活躍し事件を解決するかわいらしい時代小説。若旦那は、魔物が見えるし、若旦那のおばあさんは魔界の人。人間のおじいさんと結婚して、その孫に魔界と通じる特殊能力がそなわるという経歴も「百鬼夜行抄」に似ている。もちろんどちらもオリジナリティーが高く、ジャンルも違うので、アイデアの盗用なんていう気はない。


でも、最近、「百鬼夜行抄」って、「しゃばけ」に似ている。と言った「しゃばけ」ファンに出会ったので、これだけは言っておこう。
どちらが先かと言えば「百鬼夜行抄」がずーっと先行していた!と。なにしろ、10年以上続いている連載で、そのスタイルはぜんぜん変わっていないのだから。

装丁の美しさもこのまんがを連続して買う気にさせる要因の一つだ。
いろいろな意味でこの作品の転機になりそうな13巻。
今市子さん、律がおじいさんになるまで続けてくださいな。
輪廻転生の物語に発展してもいいからさ。
by windowhead | 2005-08-16 13:50 | 至福の観・聞・読

日本の西海岸・長崎からのつぶやきはビンの中の手紙のように漂いながら誰かのもとへ


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