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久々に土方歳三を実感した言葉

正月の「土方歳三最期の一日」以来、なんとなく土方歳三から遠ざかっていた。
これで、山本耕史が演じた土方歳三に決着がついたし、今後しばらくは、彼以外のだれが土方を演じても「違うよなあ」と感じるだろう。それほど大河「新選組!」の山本土方は若々しい人間土方を見せてくれた。あまりにもしっくりくる俳優に演じられて、私の中の土方像がややかすんでさえいた。

などと、大仰なことを言っているが、なんのことはない、最近土方に関する新刊本が出ていなかったのが、土方から遠ざかってしまっていた理由のすべて。土方関連本のほとんどは読んでいるのでよほど何かのきっかけで読み返すことがない限り、新刊がでないと、寂しい思いが続く。

新人物往来社の「歴史読本」5月号は、幕末京都志士日誌と言う特集が組まれている。京都に刻まれた志士たちの足跡を追うという形で、近藤、土方、龍馬、中岡慎太郎、桂、桐野利秋、慶喜、イバハチ、岩倉具視などの京都での行動を4ページづつにまとめ、それに各人の京都での行動年表がついている。また、会津藩、土佐藩、薩摩藩、長州藩の京都での動きをそれぞれの「藩邸日録」と言う形でまとめてある。
ひさしぶりに、幕末の京都での出来事をまとめて読むことができ、うれしいやらなつかしいやら。

土方歳三部分を書いているのは伊東成郎氏。土方や新選組関係の史料集などの著書も多い研究家だ。たしか『新選組日誌 上・下』や『土方歳三の日記』を書いたのはこの人だったと記憶している。
この中に、五稜郭で土方の指揮下にいた竹柴保次郎と言う人の話が出てくる。
自分が知っている土方歳三という人は、義にあつく勇敢で、少人数で大敵を破ることもしばしばあった。官軍の用兵は速やかで、背後をつかれることがあり、みんなそれを恐れたが、歳三は「ぜんぜんそんなことは恐れることはない。前の敵を倒したら引き返して背後の敵に向えばいい。向き合えば背後ではなく、前面の敵だ。」と言ったという。
常に前を向いていれば何事も恐れることはない。それが土方歳三の信条だった。と伊東氏は書いている。
「背後の敵も向き合えば前面の敵」 あたりまえのことだけど、すごい言葉。危機にあってこの言葉が言える土方は本質的にポジティブ思考の人。まっすぐ前を向いて突っ走った人か。

たった4ページの文章だが、久しぶりに、山本土方を脱いだ生身の土方歳三に出会ったようななつかしさを感じた。
つくづく、自分の土方歳三好きにあきれてしまうのだが、なんなのだろう、土方の魅力は…。
言論や思想を競い合うような幕末の志士たちの中にあって、実にシンプルな言葉で意表を付くような真実を伝える言葉の瞬発力。それも彼の魅力のひとつだ。

おかえり、土方歳三くん。
by windowhead | 2006-03-28 23:11

日本の西海岸・長崎からのつぶやきはビンの中の手紙のように漂いながら誰かのもとへ


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