人気ブログランキング | 話題のタグを見る

セルティックのちょっといい話

「learning for kids at celtic so japaneasy!」
(クラブが子供たちへ日本語教育 )

中村俊輔選手が所属しているスコットランド・グラスゴーのサッカークラブ「セルティックFC]のホームページに掲載されていた記事のタイトルだ。

●セルティックホームページ上の記事(英語)http://www.celticfc.net/news/stories/news_220607163836.aspx
●セルティックホームページ日本語版の記事
http://www.celticfc.jp/newsroom/news.aspx?id='2007-06-22_1810mk'

セルティック日本語サイト(このサイトは日本から5万ヒット/週のアクセスがある)の記事によると、中村選手の活躍で、グラスゴーの子供たちが日本に関心を持ちだしたらしい。

セルティック・フットボール・クラブは、グラスゴー市議会と協力して、セルティック・パークのラーニング・センターで、子供たちに日本語を学ぶ機会を与えることになったとして、そのセミナーの模様がホームページに写真入(これは英語版のみ)で掲載されている。
その日、訪れた小学生たちは、自分の名前の日本語表記を教わり、折り紙や和太鼓を楽しんだと書かれている。
写真を見ると、グラスゴー在住の方だろうか、日本人女性が指導している。

また、日本領事館主催で開催された日本人大学教授による「19世紀にスコットランドから日本に移住した人々の活躍」というような英語での講演会に、250人近くのスコットランドの人々が参加したらしい。

日本とスコットランドは、昔から友好的な交流があると、旅行社のパンフなどにも書かれているし、トーマス・グラバー(スコットランド・アバディーン出身)をはじめ、日本の近代化に貢献したスコットランド人も多く、日本人も「蛍の光」や「庭の千草」など、スコットランドの曲に日本語の歌詞をあてて唱歌として親しんできている。

しかし、これらのことで、スコットランドの人たちが、日本に友好的と思うのは早計で、グラスゴーやリバプールなど、英国の重工業都市では、戦後の重工業衰退の原因のひとつが、発展途上国日本の高度成長にあると思われている。
ちょうど、日本の重工業が、韓国や東南アジアの安い労働力を背景にした現地企業に受注を奪われて衰退していったのと同じことが、戦後の英国と日本の間にあったのだ。
そんな理由もあって、グラスゴーなどのもと重工業都市では、一時日本への反感が大きかった。うろ覚えだが、戦後、日本の皇族が訪問したときも、労働者たちから「帰れコール」を受けたというような出来事もあったくらい。
重工業都市グラスゴーの衰退を体験してきた50歳以上の人々には、いまだに日本と言う国には複雑な思いを持っている人もいるだろう。

「セルティックフットボールクラブ」は、グラスゴーにあって、アイルランド移民や労働者階級の人たちのシンボルとなっているチーム。
そのチームに2シーズン前、一人の日本人のプレーヤーが高額な移籍金でやってきた。
当時、一部のマスコミは Nakamura を NAK という愛称で呼び始めた。これは Negative Acknowledgment の略とのこと。高額な移籍金を払ったのはジャパンマネーねらいで、戦力にはならないだろうという意味も込められていたという。

そのNAKが、今シーズンは、スコットランドプレミアリーグのMVPなど関係するすべての賞を総なめする活躍をした。いまや、セルティックの中心選手。すでに愛称も「NAK」ではなく「NAKA」と普通になっている。そして、NAKAのことをもっと知りたいという子供たちの希望から、NAKAの国の文化や言葉に触れるチャンスをクラブと市議会が共同して開催するというまでになった。NAKAは、いつの間にか異文化交流のきっかけにまでなっていた。


日本でも少し前に日本人の心を掴んで社会現象にまでなった外国人がいた。
ヨンさま。ヨンさまのことが知りたくて韓国語を学ぶ女性たちがあふれ、韓国旅行が盛んになった。ヨンさまによって、日本人に根強かった韓国人に対する差別意識もかなり薄くなったと思われる。
残念ながらNAKAは女性よりも子供たちに人気なので、その人気がすぐさま日本経済に反映することはなさそうだが、日本人への好感度アップには大きく貢献したに違いない。

そのNAKAは、アジアカップに向けて、誕生パーティ返上で頑張っている。
きっと、セルティックのホームページを見る暇もないのかもしれない。
by windowhead | 2007-06-27 15:31 | 紙のフットボール

日本の西海岸・長崎からのつぶやきはビンの中の手紙のように漂いながら誰かのもとへ


by windowhead