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Celticのタータンーー「タータンチェックの文化史」

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タータンチェックの文化史
奥田実紀 著  白水社


今日から、サッカー、スコットランドプレミアリーグの新しいシーズンが始まる。
中村俊輔の「セルティック」は、セルティックパークで「セント・ミレン」と戦う。
先月末に股関節ヘルニア手術をした中村俊輔、膝の手術をした水野晃樹は残念ながら開幕戦に間に合わなかったが、きっとチームのスーツを着てスタンドから観戦するはずだ。

6万人収容のスタジアムいっぱいのサポーターが、グリーンと白のチームカラーのマフラーを高々と掲げて「You’ll Never Walk Alone」を大合唱する映像を また1年間見ることができることを素直に喜んでいる。
中村俊輔がセルティックに移籍したとき、はじめてセルティックパークのスタジアム映像を見た。サッカーのスタジアムはこんなに美しいのか!と感動したのを覚えている。そしてその美しさへの感動は今も変わらない。
グリーンと白、そして赤茶がとてもクリアーで汚れやくすみをまったく感じさせない。あの澄み切ったグリーンはスコットランドの空気感が見せてくれるものなのだろうか。日本にセルティックパークを持ってきたら、あの澄み切った美しさが保たれるだろうか。

クリアな色の美しさといえば、スコットランド独特の「タータンチェック」にも不思議な美しさがある。
規則的な縦線横線の組み合わせでこれほど様々なチェックを作り出すことができるのかと思うほど限りなく多様なタータンチェック。日本では学校の制服などに使われているが、スコットランドのタータンチェックは日本のものに比べると遥かに美しく澄み切っていて格調高い。スコットランドの人々がタータンチェックにこめた歴史や誇りの意味を知らず、短なる服飾として制服に取り入れている日本の服飾界のアイデアとでは、もともと大きな違いがあるのだ。そのこころざしの違いが色の美しさに出ているような気がする。

この本にはタータンチェックにまつわるスコットランドの歴史からタータンチェックの存在理由、チェックの解読方法、服飾界とのスタンスなど興味深い事柄が、多く書かれている。様々なタータンチェックとその名称がカラー印刷されているで、それだけでも大いに楽しめるし役に立つ。

この本で知ったことだが、タータンチェックの柄は登録認可制になっていて、その柄の正当な持ち主があるらしい。クランタータンという由緒ある氏族の柄というものもあり、勝手に使うことは礼を失することになるらしい。一般に使えるものはユニバーサルナショナルタータンと呼ばれるカテゴリーのもの。それでも多くの種類がある。
「スコティッシュ・タータンズ・ソサエティー」という国際的にタータンチェックの登録と認可を行う団体がある。その団体が運用しているスコティッシュ・タータンズ世界登録簿というのがあって、インターネット上でもさまざまなターンチェックを見ることができる。

Celticのタータンーー「タータンチェックの文化史」_b0009103_15141989.gifそこで、ずーっと気になっているチェックを探してみた。
セルティックのホームページだったと思うが、グリーン系のタータンがベースに敷いてあるページがあった。このグリーンのタータンはセルティックとどのような関係なのだろう?と気になっていた。
調べてみると、このタータンチェックの名称は「CELTIC」。
セルティックFCのコーポレートタータンとなっている。
チーム独自のタータンチェックなのだ。
このチェックがチームのタータンとして初登場したのは1989年のイタリアワールドカップ大会だったそうだ。
もちろん宿敵「レンジャーズ」もきれいなブルーのタータンを持っている。(ここは、女性のドレス用のタータンも持っている)
スコティッシュプレミアリーグには、チームを表現するものにタオルマフラーやエンブレム以外にもタータンチェックという独特のアイテムがあるのだ。いつか中村俊輔にもこのタータンチェックが贈られるのかもしれないなどと想像している。彼はタータンチェックの栄誉に見合うだけの活躍をしているのだから。

ブレイブ・ハートの国の誇りと繊細さを楽しめる本だ。
by windowhead | 2008-08-10 15:18 | 至福の観・聞・読

日本の西海岸・長崎からのつぶやきはビンの中の手紙のように漂いながら誰かのもとへ


by windowhead